内閣府が公開した最新の経済指標(2025年9月26日)によると、賃貸市場における家賃の上昇が、特に家計への負担が重い単身世帯の生活を圧迫していることが明らかになりました。住宅価格の高騰を背景に家賃が上がるという状況は、現役世代だけでなく、収入の柱が限られる年金生活者にとっても無視できない生活費の増大を意味します。

さて、今月は10月15日(水)に2か月に一度の年金支給日を迎えます。このような「値上げの波」の中で、「支出をどう抑えるか」「今ある資産をどう管理するか」を考えるうえで、まず押さえておきたいのが、自分が将来受け取れる(あるいは現在受け取っている)年金額です。

そこで今回は、最新の公的資料(令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況)をもとに、厚生年金と国民年金の平均受給額を、60歳代から90歳以上まで1歳刻みで詳しく見ていきます。

1. 【国民年金と厚生年金】仕組みを解説します

まず最初に、日本の公的年金の仕組みを解説します。

「年金」には公的年金と私的年金があります。その中でも、「国民年金と厚生年金」は公的年金に含まれます。

日本の年金制度のしくみ

日本の年金制度のしくみ

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)

  • 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
  • 保険料は一律
  • 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる

1.2 厚生年金(2階部分)

  • 公務員やサラリーマンなどが加入する
  • 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
  • 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる

日本の公的年金では、国民年金(1階)と厚生年金(2階)の2階建てになっており、この上の部分として私的年金があります。

企業年金やiDeCo、個人年金保険などを活用して、3階~4階部分を備える人もいます。

次章では最新資料より、公的年金の平均受給額を年齢別に見ていきましょう。