2. 知っておきたい「平均値」と「中央値」の差!両者はなにが違うの?
統計結果を見ると、どの世代においても「平均値」と「中央値」には大きな差があることがわかります。そこで、平均値と中央値とは、どのような値を指すのかを説明した上で、なぜこのような差が生じるのかを考えていきます。
2.1 平均値とは
平均値とは、全員の貯蓄額をすべて足し合わせ、その合計を人数で割り算した金額です。 この指標は、他と比較して飛び抜けて高額な資産を保有している人がいた場合、大きく引き上げられる特性があります。
例えば、「1万円、 2万円、 3万円、 4万円、 1000万円」という5人のデータがあった場合、平均値は「約202万円」となります。多くの人の「平均」の実感とは、少し離れた金額になっていることがわかります。
2.2 中央値とは
中央値とは、全員を貯蓄額の少ない順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる人の金額を指します。
平均値とは違い、一部の極端な値に影響されにくいため、より実感に近い「世の中のど真ん中」の数値を示してくれます。
先ほどと同じ「1万円、 2万円、 3万円、 4万円、 1000万円」のデータで考えると、真ん中に位置するのは「3万円」です。「この金額より多い人と少ない人が、ちょうど半々いる」という実態に近いラインが中央値です。
2.3 平均値と中央値からわかること
改めて統計データを見ると、全ての世代で平均値が中央値を大きく上回っており、60歳代ではその差が1300万円以上にも達しています。
この結果は、「ごく一部の富裕層が平均値を大きく引き上げている」ということを明確に示しています。そして、世帯の半数以上は、「平均値」には遠く及ばないというのが現実なのです。
また、「老後2000万円問題」を基準にすると、現実はより厳しいことがわかります。中央値はもちろん、平均値でさえ2000万円には遠く及んでおらず、この水準をクリアできている人はごく僅かだと考えられます。
2.4 金融資産非保有世帯の割合
この構造をさらに裏付けるのが、「金融資産非保有世帯」の割合です。
金融資産非保有世帯とは、文字通り貯蓄が全くない世帯を指しますが、おひとりさま世帯の場合、どの年代でも25%を超えており、4人に1人以上が貯蓄ゼロという状況であることがわかります。
この割合は二人以上世帯と比べても高く、貯蓄にまで手が回らない、あるいは関心が低い層が一定数いることがうかがえます。
このことからも、おひとりさま世帯には「貯蓄がほとんどない(または、全くない)グループ」と「高額な貯蓄を持つグループ」が明確に分かれており、この二極化が平均値と中央値の大きな差として表れていることがわかります。