2. 生活保護制度に夏季加算はなし。エアコンの購入は保護対象になる?

寒い時期の支出に対応する冬季加算が存在する一方で、夏季加算という制度はないのが現状です。

エアコンの購入については厚生労働省「生活保護の基本的な実務」にて、次のように記載されていました。

生活保護世帯におけるエアコン購入に関する基本的な考え方

生活保護世帯におけるエアコン購入に関する基本的な考え方

出所:厚生労働省「生活保護の基本的な実務」

  • エアコンなどの日常生活に必要なものは原則として生活保護費用のやりくりで計画的に購入する必要がある
  • 生活保護費用のやりくりによる購入が難しい場合は生活福祉資金貸付を活用することで購入可能

ただし、保護の実施要領 第7-2(6)の「ウ 冷房器具」に基づき、以下のようなケースではエアコンの購入費用が一時扶助費として支給される場合もあります。

  • 保護開始時に持ち合わせがない場合
  • 長期入院・入所後に退院・退所し、新たに単身で居住を始める場合
  • 災害により喪失し、災害救助法等他制度からの措置がない場合
  • 転居の場合で新旧住居の設備の相違により、現に所有しているエアコンが使用できない場合
  • 犯罪等により被害を受け、生命身体の安全確保のために新たに転居する場合で持ち合わせがない場合

2.1 生活保護制度における加算の種類

前述した通り、原則としてエアコンの購入は生活保護費用のなかでやりくりする必要があります。ただし、生活保護制度には冬季加算のように、生活扶助基準に上乗せして支給されるものがいくつか存在します。具体的には以下の通りです。

  • 妊産婦加算
  • 母子加算
  • 障害者加算
  • 介護施設入所者加算
  • 在宅患者加算
  • 放射線障害者加算
  • 児童養育加算
  • 介護保険料加算

例えば、妊産婦加算は妊娠6ヶ月未満なら9130円、6ヶ月以上であれば1万3790円が支給されます。ほかにも生活保護受給者の状況に応じて生活に困窮しないように生活扶助基準に上乗せする形で加算されるのがポイントです。

3. おわりに

今回は冬季加算の基本情報を中心に解説しました。冬季加算は、生活保護において季節の需要増加による負担に対応できる重要な仕組みです。居住している地域によって支給内容が大きく異なるため、自身がどの区分に該当しているのかを把握しておくことが大切です。

ただし、現状で夏季加算は存在しないので、基本的に夏場のエアコン購入は生活保護費用のなかで捻出する必要がある点は留意しておきましょう。自治体によっては、エアコンの購入や設置などを助成する制度を用意している地域もあります。

居住している自治体の公式ホームページから申し込み期間や方法をしっかりと確認したうえで、申請手続きを進めてみてください。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料

湯田 浩平