年末調整の時期を迎えました。老後、年金生活が始まると年末調整はありません。

公的年金は収入として扱われるため、原則として確定申告の対象となります。

ただし、条件を満たせば「確定申告不要制度」により申告が不要となり、手続きを省ける場合もあります。

とはいえ、申告の要否は所得によって左右されるため、老齢年金を受給している方の中には「自分は毎年申告が必要なのか」と判断に迷うケースも少なくありません。

また、状況次第では申告したほうが有利になることもあります。

本記事では、老齢年金における「確定申告が不要となるケース」と「申告したほうがよいケース」を解説します。

1. 「確定申告」とは?年金生活者も確定申告をしないといけないのか?

確定申告とは、1年間の所得に基づいて税額を算出し、納税額を決定するための手続きであり、2025年分の申告期間は2026年2月16日から3月16日までです。

老齢年金は老後の生活を支える重要な収入ですが、「雑所得」として扱われるため、原則として所得税および復興特別所得税の確定申告が必要です。

年金にかかる税金は源泉徴収によってあらかじめ差し引かれており、65歳未満で108万円以上、65歳以上で158万円以上を受給する場合はその対象となります。

本来であれば、確定申告で正確な所得額を計算し、税額の過不足を精算しなければなりませんが、高齢になると税務署へ出向いたり、必要書類を揃えて申告手続きを行うことが大きな負担となってしまいます。

このような状況を踏まえて設けられたのが「確定申告不要制度」です。

この制度を活用することで、年金受給者は煩雑な手続きを省き、簡便に税の処理を済ませられるようになっています。

次章では、実際に年金受給者が確定申告を行わなくてもよい具体的なケースについて説明します。