4. 【医療保険の予備知識】来年春から「子ども・子育て支援金」が徴収開始に

最後に、来春から始まる「子ども・子育て支援金」についても確認しておきましょう。

「子ども・子育て支援金制度」は、少子化対策の一環として子育て支援を強化するため、社会全体で費用を分担する仕組みとして導入される制度です。

この支援金は、2026年4月から「すべての世代が加入する医療保険料」に加算される形で徴収が始まるため、年金で暮らす75歳以上の方も負担の対象となります。

では、シニア世代にとって「子ども・子育て支援金」がどのくらいの負担になるのかを見ていきましょう。

4.1 【年収別】シニア世代の「子ども・子育て支援金」負担額をチェック

こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室の資料によれば、後期高齢者1人あたりの2026年度から2028年度にかけての負担増は、月額およそ200円〜350円程度が目安とされています。

なお、「子ども・子育て支援金」は年収によって金額が変わる点にも留意が必要です。

2028年度時点における、後期高齢者(単身世帯・年金収入のみ)の年収ごとの負担額の目安は以下のとおりです。

  • 年収80万円:月額 50円(均等割7割軽減)
  • 年収160万円:月額 100円(均等割7割軽減)
  • 年収180万円:月額 200円(均等割5割軽減)
  • 年収200万円:月額 350円(均等割2割軽減)
  • 年収250万円:月額 550円(軽減なし)
  • 年収300万円:月額 750円(軽減なし)

実際の負担額は保険料率の改定などにより変動する可能性があるため、現時点では確定していません。

しかし、2026年4月以降は「子ども・子育て支援金」として、月額で数百円程度が保険料に上乗せされる見込みであることは理解しておきましょう。

5. 優遇措置は9月末で終了!ご自身や家族が「2割負担の対象か」確認しておこう

本記事では、「後期高齢者医療制度」の基本的な内容と、2割負担の対象となる人の年金収入の目安について解説していきました。

負担割合の引き上げに伴う優遇措置は9月末で終了したため、10月以降は一部のシニア世帯で医療費の自己負担が増える見込みです。

さらに、来年春からは「子ども・子育て支援金」の徴収も始まる予定です。

医療費の自己負担や保険料の額は、所得によって大きく変わるため、まずはご自身や家族の収入状況をしっかり把握しておくことが大切です。

老後を安心して過ごすためにも、後期高齢者医療制度の仕組みを理解し、早めの準備を心がけましょう。

参考資料

和田 直子