3. 暗号資産投資の主なリスク
暗号資産を資産形成に使う上で知っておくべきリスクは次の通りです。
3.1 価格変動の大きさ
短期間で数割単位で価格が上下することもあり、短期損失リスクが高くなります。
以下は主な暗号通貨の価格推移です。短期間で上下しており、動きを読むのはかなり難しいと言えるでしょう。
3.2 制度未整備・法整備の変動
現在は法制度が完全に整っていないため、規制強化や課税変更がある可能性があります。
3.3 流動性・取引所リスク
取引所の経営破綻、ハッキング、システム障害などのリスクが存在します。
3.4 税務面の特殊性
暗号資産の利益は総合課税の雑所得として課税され、他の金融所得との損益通算ができません。このため、税負担が高く、資産形成として扱いにくい商品です。
この税務面の特殊性が、他の金融商品と大きく異なるポイントであり、投資しにくい理由の核心でもあります。
詳しくご説明していきます。
暗号資産の売却や交換で得た利益は「雑所得」として総合課税の対象となり、所得税率(5~45%)と住民税(10%)が課されます。
例えば、年収500万円の人が暗号資産で100万円の利益を得た場合、税率は約30%(所得税20%+住民税10%)となり、約30万円の税金を納める必要があります。
一方、株式や投資信託の譲渡益は分離課税(20.315%)で税率が一定であり、暗号資産の方が税負担が重くなるケースがあります。
さらに、暗号資産特有の課題として、以下のようなポイントもあります。
取引ごとの課税タイミング
暗号資産を売却するだけでなく、暗号資産同士の交換(例:ビットコインをイーサリアムに交換するなど)も課税対象となり、利益計算が複雑です。
損益通算の不可
暗号資産の損失は他の金融商品(株式や投資信託)の利益と相殺できません。
例えば、暗号資産で50万円の損失、株式で50万円の利益が出ても、株式の利益に20.315%の税金がかかります。
申告の負担
取引履歴を正確に管理し、取得原価を計算(通常はFIFO方式:先入先出法)する必要があります。
取引量が多い場合、計算ミスや申告漏れによる追徴課税のリスクが高まります。
実務的注意点として、取引所から提供される取引履歴をこまめに保存し、税務申告に備える必要もあります。
また、海外取引所を利用する場合、国外財産調書(暗号資産が5000万円超の場合)の提出義務や、為替差益の計算に注意も必要です。
税務申告が複雑な場合は、税理士への相談を検討する必要もあり、予想以上に大変になる場合もあるでしょう。