年金は、偶数月に2カ月分がまとめて支給されます。次回の年金支給日は10月15日です。
厚生労働省に調査によると、高齢者の生活意識として半数以上の方が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答しています。
この記事では、「65歳以上の単身無職世帯」における平均的な《ひと月の家計収支》をご紹介します。
また、2025年度に1.9%増額改定された年金額例や、「働き方のタイプ別・年金額例」についても解説しますので、ぜひ老後生活に向けた計画を立てる際にお役立てください。
1. 【高齢者の生活意識】半数以上が「日々の生活に経済的な厳しさを感じている」
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関するリアルな結果を見ていきます。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
1.1 高齢者世帯の生活意識
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
この調査結果からは、シニア世帯の暮らし向きが、経済状況によって大きく3つの層に分かれている様子が見えてきます。
まず、半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。
その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と回答した世帯は合計してもわずか4.2%。経済的な余裕を実感できているシニア世帯はごく一握りのようです。
そして、これら両者の中間にあたるのが、40.1%を占める「普通」と回答した層です。この割合は「苦しい」層には及ばないものの、「ゆとりがある」層を大きく上回りました。
経済的な余裕があるとは言えないものの、堅実に暮らす一定数のシニア世帯が、厚い中間層を形成している様子もうかがえます。
2. 【65歳以上の単身無職世帯】平均的な《ひと月の家計収支》はいくら?
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、標準的な65歳以上・単身無職世帯のひと月の家計収支データを見てみましょう。
2.1 65歳以上の単身無職世帯「ひと月の家計収支」
毎月の実収入:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金)12万1629円
毎月の支出:16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家事用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万956円
- うち諸雑費:1万3409円
- うち交際費:1万6460円
- うち仕送り金:1059円
■うち非消費支出:1万2647円
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
65歳以上《単身》無職世帯の家計の姿
- ひと月の赤字:2万7817円
- エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
- 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%
この単身世帯の家計は、毎月約2万8000円の赤字となっています。
公的年金を中心とした月収約13万4000円に対し、支出が約16万2000円と収入を上回っているためです。
可処分所得(手取り収入)の約1.2倍以上を消費に充てている状態で、貯蓄を取り崩しながら生活している様子がうかがえます。
3. 【国民年金・厚生年金】2025年度は前年度より1.9%増額に
65歳で完全にリタイアした場合、収入の多くを公的年金が占めることになります。
しかし、年金だけでは生活費のすべてをまかなうのが難しく、貯蓄や不労所得で不足分を補う必要がある人も少なくありません。
そこで、生活の基盤となる老齢年金について理解を深めておくことが重要です。
公的年金の年金額は、物価や賃金の変動に応じて毎年見直されるルールがあり、2025年度は前年度より1.9%増額されました。
具体的な年金額の例を見ていきましょう。
3.1 2025年度の年金額例
3.2 【2025年度】国民年金と厚生年金の年金額例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(+1308円)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
先ほども触れたように、国民年金保険料は、加入者全員が一律の金額を納付します。
一方、会社員や公務員などが加入する厚生年金の保険料は、収入によって決まります。
そのため、厚生年金の加入期間や、その期間の収入により、将来受け取る年金額には個人差が生じます。
4. 「働き方のタイプ別・年金額例」を見る
厚生労働省は、2025年度(令和7年度)の年金額の目安として、「多様なライフコースに応じた年金額例」を5つのパターンで提示しました。
この年金額例は、令和6年の財政検証で作成された将来の年金予測(年金額の分布推計)を基にしています。
具体的には「令和6(2024)年度に65歳になる人」の加入期間や収入をモデルとし、働き方のタイプ(経歴類型)ごと・男女別に概算したものです。
4.1 「働き方のタイプ別・年金額例」
5つのパターンのうち、今回は「厚生年金期間中心」で働いた場合の年金額例を、男女別に見てみましょう。
4.2 厚生年金期間中心の男性
年金月額:17万3457円(+3234円)
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円(平均年収は賞与含む月額換算)
- 基礎年金:6万8671円
- 厚生年金:10万4786円
4.3 厚生年金期間中心の女性
年金月額:13万2117円(+2463円)
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円(平均年収は賞与含む月額換算)
- 基礎年金:7万566円
- 厚生年金:6万1551円
年金月額を男女のモデルケースで比較すると、約4万1000円の差が生じます。
この差の背景には、現役時代の平均収入の違い(月額で約15万円)と、厚生年金加入期間の差(約6.4年)が影響していることが考えられます。
厚生年金は、収入が高く、加入期間が長いほど受給額が増える仕組みのため、これらの要素が年金額に大きく反映されているのです。
また、国民年金のみに加入していた場合の平均年金月額は、男性が6万2344円、女性が6万636円です。
このことからも、厚生年金が上乗せされることによる年金額の増加分が大きいことがわかります。
これらの例からもわかるように、現役時代の働き方や収入によって、将来受け取る年金額は大きく変わります。
5. 老後生活に向けて、計画的に準備を進めていきましょう
ここまで「65歳以上の単身無職世帯」における平均的な《ひと月の家計収支》をご紹介しました。
また、「働き方のタイプ別・年金額例」についても解説しました。
2025年度の年金は前年度よりも1.9%増額改定されていますが、物価の上昇により実質的には目減りしています。
65歳以上の単身無職世帯では「平均で毎月約2万8000円の赤字」となっており、老後生活が厳しい状況にあることがわかりました。
老後生活に向けて、計画的に準備を進めていくことが大切です。
まずは、家計や年金の見込額をチェックすることからはじめてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
安達 さやか