秋の気配を感じるこの頃、「終活」という言葉を耳にする機会が増えていませんか。テレビや雑誌、書店などで目にすることも多くなりましたが、「具体的に何をするの?」「少し暗いイメージがある…」と感じる人も少なくないようです。

そこで今回は、NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が実施した「第2回終活意識全国調査」(2024年)をもとに、終活のリアルな現状と、自治体の支援制度も活用した「今を生き生きと過ごすための準備」について解説します。

1. 「終活はみんな知っている」認知度は20~70歳代以上で9割以上!

2025年7月18日にNPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)が公表した報告書「第2回終活意識全国調査」は、20歳〜89歳の男女を対象に全国で実施されたインターネットでの「終活」に関する意識調査です。

まず驚くべきは、「終活」という言葉の認知度の高さです。調査対象である20歳代から70歳代の認知度は9割以上で全体では96.9%に達しています。2009年に登場したとされるこの言葉は、今や完全に社会に根づいてきたと言えるでしょう。

「あなたは、終活という言葉を聞いたことがありますか?」1/3

「あなたは、終活という言葉を聞いたことがありますか?」

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査(2024年12月)報告書全文」

しかし、その認知度の高さとは裏腹に、多くの人が抱くイメージには少し偏りがあるようです。

2. 「終活、どんなイメージ?」7割以上がお墓と葬式などの準備と回答

終活のイメージとはどのようなものが多いのか、調査では以下のような結果がでました。

あなたは、終活に対し、どのようなイメージをお持ちですか?2/3

あなたは、終活に対し、どのようなイメージをお持ちですか?

出所:NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回 終活意識全国調査 報告書(2024年調査・2025年公開)」

全体(男女・全年齢層)の割合

  • 亡くなったときのための準備(葬式や墓など):77.7%
  • 人生の後半期を生き生きと過ごすための準備:18.7%
  • その他:1.3%
  • わからない:2.3%

終活のイメージでは、7割以上の人が亡くなったときのための準備と回答、「終活」を「死」と結びつけて考えている人の割合が高いことが分かります。一方で、18.7%の人は「人生の後半期を生き生きと過ごすための準備」として、より良く生きるための準備というポジティブな側面でとらえる人もいます。

ここで興味深いのは、世代によるイメージの違いです。データを見ると、高齢になるほど終活に対して前向きで明るいイメージを持つ人の割合は高くなっています。これは、人生経験を重ねる中で、終活を単なる「死の準備」ではなく、残りの人生を自分らしく豊かに生きるための計画だと、より深く理解するようになるからでしょう。

3. 「おひとりさまの終活」など自治体の支援が増加傾向

近年、終活サポート・終活支援を行う自治体は増えています。たとえば兵庫県高砂市では、「エンディングプラン・サポート事業」という取り組みを行っています。これは、対象者となる一人暮らしの高齢者など、将来の葬儀や納骨に不安を抱える方を対象に、市が葬祭事業者との契約をサポートする制度です。

兵庫県高砂市「エンディングプラン・サポート事業3/3

兵庫県高砂市「エンディングプラン・サポート事業

出所:兵庫県高砂市「エンディングプラン・サポート事業」

あらかじめ生前に準備をしておくことで、もしものときに契約内容がきちんと実行されるように支援してくれる仕組みになっています。こうした取り組みは、人生の最期を安心して迎える備えであると同時に、今を前向きに生きる力にもつながると言えるでしょう。

また、神奈川県横須賀市の地域福祉課には終活支援センターがあります。対象者になる一人暮らしの高齢者が安心して人生の後半期を迎えられるよう、葬儀や納骨などを事前に契約し支援する「エンディングプラン・サポート事業」を実施。さらに、終活ノートやお墓の情報を市に登録し、万一の際に医療機関や家族に共有できる「わたしの終活登録」制度も用意し、市民の意思を尊重する体制を整えています。

お住まいの地域でも、同じような終活支援の取り組みが行われているかもしれません。自治体の窓口やホームページを確認してみることで、不安の種を早めに解消できる可能性があります。人生の最期に備えを整えることは、これからの毎日を前向きに、より生き生きと過ごす力にもつながるでしょう。

4. 「終活はいつからはじめる?」今をより良く生きるために大切なこと

終活に「早すぎる」ということはありません。老後の漠然とした不安を解消し、「今」をより良く生きるための計画として、思い立ったその瞬間から始めるべきでしょう。

今回はNPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回終活意識全国調査」の結果をもとに、終活の現状と「生きるための準備」としての側面を解説しました。終活の言葉は知られていても、そのイメージは「亡くなったときのための準備」というネガティブなものが、全体の7割以上と多数派を占めています 。

しかし、高齢になるほど、終活を「人生の後半期を生き生きと過ごすための準備」と前向きに捉える人の割合が高くなっています 。事前に準備を整えることで、将来の漠然とした不安を解消し、「今」を自分らしく、より生き生きと過ごすことができるでしょう。

特に、老後の不安を抱える「おひとりさま」にとって、自治体が提供する葬儀や納骨の支援サービスは大きな安心材料となります。この記事で紹介したような自治体支援や、エンディングノートの活用は、あなたの将来の意思を明確にし、家族や支援者とのコミュニケーションのきっかけにもなります。

「まだ早い」と感じる方もいるかもしれませんが、終活は特別なことではありません。老後の住まい、介護、財産、友人とのつながりなど、具体的な不安をリストアップし、一つずつ準備を始めることこそが、「自分らしい未来」を描く第一歩です。この機会に終活を「今をより良く生きるための計画」として考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

NPO法人ら・し・さ(終活アドバイザー協会)「第2回 終活意識全国調査 報告書(2024年調査・2025年公開)」
兵庫県高砂市「エンディングプラン・サポート事業」
神奈川県横須賀市「終活支援センター」

村岸 理美