秋風が吹き始め、老後の生活に思いを馳せる機会が増える季節となりました。来月10月15日は年金支給日ですが、年金だけでは生活費が足りるのか、貯蓄は十分なのか、不安に感じる方もいるかと思います。
今回、J-FLECの調査結果をもとに、60歳代が考える「ひと月当たりの最低生活費」と、実際の「貯蓄額」のリアルなギャップを解説します。平均値だけでは見えない、「貯蓄3000万円以上」と「貯蓄ゼロ」がほぼ同じ割合という、60歳代の老後資金の二極化の現実を見ていきましょう。
1. 60歳代、ひと月当たりの最低生活費「31万円あればたりる?」
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、60歳代が考える「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」は平均2110万円、「ひと月当たりの最低生活費」は平均31万円でした。
2. 60歳代、貯蓄3000万円以上ある人と貯蓄ゼロの人「どちらが多い?」
老後を迎える60歳代では、「貯蓄が3000万円以上ある人」と「貯蓄がまったくない人」、どちらの割合が多いのでしょうか。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表する「家計の金融行動に関する世論調査[二人世帯調査](2024年)」より、60歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認します。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
2.1 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄額(平均と中央値)はいくら?
- 平均:2033万円
- 中央値:650万円
平均貯蓄額は2000万円を上回っていますが、中央値は650万円にとどまっています。
次に、貯蓄額の分布を金額帯ごとに見ていきましょう。