4. 60歳代、長期的な視野で資金計画の立て直しも検討していこう

今回は、J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、60歳代の老後資金の現実について解説しました。

60歳代が最低限必要だと考える「金融資産残高2110万円」に対し、実際の貯蓄は二極化しており、「貯蓄ゼロ」の世帯が20.5%、「3000万円以上」の世帯が20.0%とほぼ同率でした。平均貯蓄額は2033万円と一見高水準ですが、中央値は650万円であり、7割以上の世帯が2000万円未満という実態があります。つまり、平均値はあくまで参考であり、「我が家も大丈夫」と安心できるデータではないことを認識することが大切です。

「老後2000万円問題」が話題となって久しいですが、実際にそれをクリアできている世帯は少数派。すでに貯蓄を取り崩している世帯や、現役で働く世帯も含まれているため、このデータだけで悲観的になる必要はありません。しかし、現状を把握し、長期的な視野で資金計画を立て直すための重要なきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美