4. 60歳代、長期的な視野で資金計画の立て直しも検討していこう
今回は、J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、60歳代の老後資金の現実について解説しました。
60歳代が最低限必要だと考える「金融資産残高2110万円」に対し、実際の貯蓄は二極化しており、「貯蓄ゼロ」の世帯が20.5%、「3000万円以上」の世帯が20.0%とほぼ同率でした。平均貯蓄額は2033万円と一見高水準ですが、中央値は650万円であり、7割以上の世帯が2000万円未満という実態があります。つまり、平均値はあくまで参考であり、「我が家も大丈夫」と安心できるデータではないことを認識することが大切です。
「老後2000万円問題」が話題となって久しいですが、実際にそれをクリアできている世帯は少数派。すでに貯蓄を取り崩している世帯や、現役で働く世帯も含まれているため、このデータだけで悲観的になる必要はありません。しかし、現状を把握し、長期的な視野で資金計画を立て直すための重要なきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
村岸 理美
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)/CFP®/J-FLEC認定アドバイザー
早稲田大学卒業後、日本生命保険相互会社に入社。生命保険・損害保険の営業を経て、社内教育部署にて教材制作や研修の企画・運営に携わる。退職後は独立系ファイナンシャルプランナーとして、公正中立な立場から家計相談・ライフプラン設計に対応。マネースクール講師としても活動し、社会保障、リタイアメントマネジメント、家計管理、資産運用などお金に関する幅広い分野に強みを持つ。現在も「お金の先生」であるJ-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザーとして、学校や企業に出張授業で金融教育の普及に取り組んでいる。
2025年に株式会社モニクル傘下の株式会社モニクルリサーチに入社。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMOマネー編集部にて、厚生労働省、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)といった官公庁の公開情報など、信頼性の高い情報をもとに厚生労働省管轄の厚生年金保険と国民年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)、年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、資産運用、NISA、iDeCo、保険などを中心に企画・執筆・編集・監修を行う。(2025年5月30日更新)