昨年2024年7月から新紙幣の発行が始まり、早くも1年以上が経過しました。はじめは見慣れなかったデザインも、今ではすっかり違和感がなくなったという方も多いのではないでしょうか。

《新紙幣》渋沢栄一の1万円札

《新紙幣》渋沢栄一の1万円札

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新紙幣の発行開始から一定期間経過した今、改めて確認しておきたいのが旧紙幣の取り扱いについてです。「自宅に保管している旧紙幣はもう使えないのでは?」と、不安を感じる方もいるかもしれません。筆者も元銀行員として窓口業務を経験する中で、お客様からお金の取り扱いに関するご相談をよく受けていました。

今回は、新紙幣発行後も旧紙幣の通用力が変わらないことをお伝えするとともに、タンス預金として現金を保管する際に知っておきたいポイントとして、リスクと賢い対策について解説します。

1. タンス預金のポイント①「聖徳太子の1万円札」まだ使えるの?

《旧紙幣》聖徳太子の1万円

《旧紙幣》聖徳太子の1万円

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新紙幣が発行されたからといって、旧紙幣がお金としての通用力を失うわけではありません。

一度発行されたお金は、日本銀行法によって無制限の通用力があることが定められています。この通用力は特別な措置が取られない限り失われないため、旧紙幣についても引き続き使うことができます。

これは現在も通用力がある福沢諭吉の紙幣に限らず、聖徳太子の1万円札や夏目漱石の1000円札といった過去に発行された紙幣についても同様です。

したがって、旧紙幣でのタンス預金についてもお金として使えなくなる心配はないでしょう。

なお、日本銀行によると、2025年6月末現在における新紙幣の発行残高は約50億枚で、これは紙幣全体の発行残高における約30%にあたります。つまり、新紙幣発行から1年以上が経過したものの約7割はまだ旧紙幣のままということです。

新紙幣への切り替えが進むのには、もう少し時間がかかるのかもしれません。