3. タンス預金のポイント③日ごろから考えておきたい「災害時、お金のリスク」
タンス預金をするときに考えておきたいのが、災害によって現金を失ってしまうリスクについてです。災害大国の日本では、いつ水害や地震などで自宅が被害を受けるか分かりません。
たとえば、銀行通帳やキャッシュカードであれば、万が一紛失した場合でも再発行をしてもらえます。しかし、現金は失ったらそれっきりで、もちろん再発行をしてもらうことはできません。
被災によってさまざまな対応が必要となるなか、現金を失った精神的なショックまで背負うのは避けたいところです。
また、災害ではなくても、自宅に空き巣が入ることによって現金を失う可能性も否定できません。
「いくらか手元に現金があった方が安心」という気持ちもあると思いますが、タンス預金を行う際は災害や盗難のリスクについてもきちんと考えておきましょう。
3.1 タンス預金は必要最低限に留めることがおすすめ
タンス預金は旧紙幣のままでも問題はありません。しかし、災害や盗難の可能性を考えると、大切な資産を現金で保管するのはややリスクが高いといえます。
タンス預金を行う際は「手元にいくらあると安心か」ということを考えたうえで、必要最低限の金額にしておくとよいでしょう。
また、最近ではマイナス金利の解除に伴い、預金金利も上昇傾向にあります。長く使う予定のないお金であれば、金利のつかないタンス預金にしておくより預金に預けて利息を受け取ることを検討してみてもよいかもしれません。
4. まとめにかえて
この記事では、新紙幣発行後の旧紙幣の取り扱いと、タンス預金に潜むリスクについて解説しました。結論として、旧紙幣は日本銀行法によって無制限の通用力が定められているため、聖徳太子や福沢諭吉の紙幣も引き続き問題なく使えます。
しかし、タンス預金として現金を自宅に保管することには、紙幣の劣化や、災害・盗難による損失という大きなリスクが伴います。銀行の預金と違い、現金は一度失ったら再発行されないからです。
「いくらか手元に現金がないと不安」という気持ちも分かりますが、大切な資産をより安全に守り、賢く増やすためには、タンス預金は必要最低限の金額に留めることをおすすめします。最近ではマイナス金利解除に伴い預金金利も上昇傾向にあり、長く使う予定のないお金は銀行預金に預けて利息を受け取ることも前向きに検討してみましょう。適切な資金管理を心がけ、資産の安全性を高めることが、未来の安心につながります。
参考資料
- 日本銀行「新しい日本銀行券の流通状況について」
- 国立印刷局「お札に関するよくあるご質問」
- 日本銀行「傷んだお金、燃えて灰になってしまったお札や溶けてしまった硬貨は、どこに持ち込めばいいですか? 損傷したお札はどのような基準で引き換えてもらえますか?」
- 日本銀行「日本銀行が行う損傷現金の引換えについて・引換手続」
椿 慧理