2025年9月26日、国税庁が「令和6年分 民間給与実態統計調査」を公表しました。
これによると、2024年の民間給与所得者の平均年収は478万円となり、前年から18万円増加しています。
さらに、10月1日以降は都道府県ごとに最低賃金の引き上げが順次行われ、今年度は公的年金も増額改定されるなど、収入に関する明るいニュースが相次いでいます。
しかし一方で、物価高は依然として続いており、10月も飲食料品を中心に値上げが予定されています。家計を取り巻く環境は、プラス材料とマイナス要因が入り混じる状況といえるでしょう。
こうした中で、「今の生活」だけでなく「将来の暮らし」にも不安を感じる人は少なくありません。
本記事では、単身世帯の家計収支の現状や、受け取れる年金額の目安をわかりやすく解説します。まだ先のことと感じやすいテーマですが、現役世代こそ知っておきたい内容です。
1. 【おひとりさま】65歳以上・無職世帯の「ひと月の家計収支」は?
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を参考に、65歳以上・単身無職世帯のひと月の家計収支データを見てみましょう。
毎月の実収入:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金)12万1629円
毎月の支出:16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家事用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万956円
- うち諸雑費:1万3409円
- うち交際費:1万6460円
- うち仕送り金:1059円
■うち非消費支出:1万2647円
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
65歳以上《単身》無職世帯の家計の姿
- ひと月の赤字:2万7817円
- エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
- 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%
単身世帯の家計状況を見ると、毎月およそ2万8000円の赤字となっています。
収入は主に年金で約13万4000円ですが、支出は16万2000円と収入を上回っているのです。
その結果、可処分所得(手取り収入)の1.2倍以上にあたる消費支出が生じており(平均消費性向122.9%)、貯蓄を取り崩しながら生活を維持している実態がうかがえます。