少しずつですが、秋の気配が感じられるようになりました。この季節は、今後の暮らしについて考える良い機会かもしれません。年金と聞くと、一般的にイメージするのは65歳から受け取れる老齢年金でしょう。しかし、年金はそのほかにも障害認定時に受け取れる障害年金、年金被保険者が亡くなった際に遺族に支給される遺族年金があります。
遺族年金を受給する人は、所定の要件を満たせば遺族年金生活者支援給付金を受け取れます。遺族年金生活者支援給付金は、どういった人が受け取れるものなのでしょうか。
この記事では、遺族年金生活者支援給付金の受給要件や給付額、申請方法などを解説します。
1. 遺族年金とは
はじめに、遺族年金について理解を深めておきましょう。
遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者や被保険者だった人が亡くなった際に、生計を維持されていた遺族に支給される年金です。遺族は65歳になると自分の年金を受け取るため、基本的には65歳になる前の人が受け取るものと捉えておくとよいです。
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれます。亡くなった人が加入している年金によって、どちらを受給できるかが決まります。
遺族年金の受給額と受給要件、受給対象者を見てみましょう。
1.1 〈遺族基礎年金〉
受給額
- 昭和31年4月2日以後生まれ:83万1700円+子の加算額(※1)
- 昭和31年4月1日以前生まれ:82万9300円+子の加算額(※1)
受給要件
- 国民年金の被保険者が死亡したとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満で、日本国内に住所を有していた人が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給権者であった人や受給資格を満たした人が死亡したとき
受給対象者
- 生計を維持されていた以下の親族
・子のある配偶者
・子
1.2 〈遺族厚生年金〉
受給額
- 老齢厚生年金の報酬比例部分×3/4
受給要件
- 厚生年金保険の被保険者が死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている人が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者や受給資格を満たした人が死亡したとき
受給対象者
- 以下の優先順位で受け取れる。
1.子のある配偶者
2.子(※2)
3.子のない配偶者
4.父母
5.孫(※2)
6.祖父母
※1:子の加算額は1人目、2人目が23万9300円、3人目以降が7万9800円。
※2:18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人。
注意したいのは、遺族厚生年金です。
子どものいない配偶者は受給可能ですが、受け取るのが30歳未満の妻の場合、受給期間は終身ではなく5年間に限定されます。また、子のない夫は55歳まで受給権がなく、受給を始められるのは60歳からとなっています。ほかの年金よりも仕組みが複雑なため、受給の際は要件をよく確かめておきましょう。
次章では、遺族年金生活者支援給付金の概要を解説します。