9月に入っても残暑が厳しく、日中はまだ夏のような暑さが続きます。それでも朝夕には少しずつ秋の気配が感じられる頃。次回の年金支給日は10月15日です。そんな中、2026年4月から在職老齢年金制度の基準額が「月51万円」から「62万円」へ引き上げられることが決まりました。これにより、働きながら年金を受け取る人の支給停止が緩和される見込みです。働きながら年金を受け取る人が支給停止されにくくなる一方、繰下げなど年金の受給方法との関係や制度の違いを理解しておくことも大切です。

1. 【在職老齢年金】基準額「51万円→62万円へ引き上げ」

在職老齢年金とは、働きながら老齢厚生年金を受け取る人が対象の制度です。

※月50万円は2024年度の支給停止調整額、2025年度は月51万円

賃金(総報酬月額相当額)と年金額(基本月額)の合計が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止されます。2025年度のこの基準は「月51万円」でしたが、2026年4月から「月62万円」へと引き上げられることが決まりました。たとえば賃金45万円・年金10万円の人の場合、従来は合計が51万円を超えていたため老齢厚生年金の一部が調整されていましたが、今後は62万円以下なら支給停止がかからず、老齢厚生年金を全額受け取れるケースが増えると見込まれます。なお、在職老齢年金の仕組みは老齢厚生年金が対象であり、働きながら年金を受け取るという理由で老齢基礎年金が支給停止されることはありません。約20万人が新たに「全額支給」の対象になると推計されています。