次の年金支給日は10月15日で、心待ちにされる方もいると思います。そんね年金について、2025年は前年度から1.9%引き上げられました。これにより、国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額69308円、厚生年金のモデル夫婦では月額232784円となります。

しかし、この金額はあくまで目安です。年金から住民税や介護保険料などが天引きされるため、実際に受け取る手取り額は表示額と異なります。特に、公的年金は10月から住民税などの特別徴収が本格的に始まるため、手取り額が変わる可能性があります。この記事では、今のシニア世代がうけとる「みんなの年金の平均額」や、10月支給分の手取り額について詳しく見ていきます。

1. 【みんなの年金】10月から手取り額が減る人もいるの?

公的年金からは、税金や社会保険料(健康保険料・介護保険料など)が天引き(特別徴収)されます。「天引き額は一年間ずっと同じ」と思いがちですが、実は年度の途中で金額が変わるのが一般的です。

その理由は、年金から天引きされる住民税と社会保険料の計算が、二段階(仮徴収・本徴収)のしくみになっているためです。

1.1 ステップ1:年度前半は「仮徴収」

年金から天引きされる住民税や国民健康保険料などの社会保険料は、前年(2024年)の所得をもとに計算されます。しかし、その正式な年額が確定するのは毎年6月~7月頃です。

そのため、金額が確定していない年度前半(4月・6月・8月支給分の年金)では、まず前年度2月と同額が暫定的に天引きされます。これを「仮徴収」と呼びます。

1.2 ステップ2:年度後半は「本徴収」

前年の所得が確定し、その年度に支払うべき社会保険料の正式な年額が決まると、徴収方法が切り替わります。

まず、確定した年額から、仮徴収として支払った合計額を差し引きます。そして、残った金額を年度後半の支給回数で割って天引きします。これが「本徴収」です。

多くの場合、本徴収は10月支給分からですが、自治体によっては8月から始まることもあります。

1.3 前年の所得が大きく変わった人は要注意!

前年の所得が増加すると、秋以降の年金の手取り額が想定外に減ってしまうことがあるため注意が必要です。

例えば、以下のように前年の課税所得が増えるケースがこれにあたります。

  • 不動産の売却や退職金の受け取りで、一時的に大きな所得があった
  • 年金以外にパート収入や不動産収入などがあった
  • 配偶者控除などの各種控除の適用がなくなり、課税対象額が増えた

このような理由で前年の所得が増えた場合、年度後半の「本徴収額」が、前半の「仮徴収額」に比べて大幅に高くなることがあります。

その結果、秋以降に天引きされる金額が増え、年金の手取りが大幅に減ってしまう可能性もあるのです。ご自身の状況をあらかじめ確認しておくと安心です。

2. 【みんなの年金】「60歳代、もらえる平均とは?」年金一覧表でチェック

ここからは、今のシニア世代が実際にどのくらいの年金を受け取れているかを見ていきましょう。60歳代~80歳代の各年齢の平均年金月額を、厚生年金と国民年金それぞれ確認します。

なお、ここで紹介する厚生年金の月額には、国民年金(老齢基礎年金)の月額部分が含まれます。

2.1 【厚生年金一覧表】60歳代の平均月額(60〜69歳)

  • 60歳:厚生年金9万6492円
  • 61歳:厚生年金10万317円
  • 62歳:厚生年金6万3244円
  • 63歳:厚生年金6万5313円
  • 64歳:厚生年金8万1700円
  • 65歳:厚生年金14万5876円
  • 66歳:厚生年金14万8285円
  • 67歳:厚生年金14万9205円
  • 68歳:厚生年金14万7862円
  • 69歳:厚生年金14万5960円

2.2 【国民年金一覧表】60歳代の平均月額(60〜69歳)

  • 60歳:国民年金4万3638円
  • 61歳:国民年金4万4663円
  • 62歳:国民年金4万3477円
  • 63歳:国民年金4万5035円
  • 64歳:国民年金4万6053円
  • 65歳:国民年金5万9599円
  • 66歳:国民年金5万9510円
  • 67歳:国民年金5万9475円
  • 68歳:国民年金5万9194円
  • 69歳:国民年金5万8972円

老齢年金の一般的な受給スタート年齢は原則65歳。

65歳未満は繰上げ受給(※1)を選んだ人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受給している人の年金額となるため、厚生年金・国民年金ともに65歳以降よりも少なめです。

65歳から69歳までの平均年金月額は、厚生年金14万円台、国民年金5万円台となっています。

※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳~64歳までで前倒しして受け取ること。繰上げた月数に応じて年金が減額(0.4%/月)され、一度決まった減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。