7月7日に総務省が公表した「家計調査報告(二人以上の世帯)2026年(令和8年)5月分」によると、二人以上の世帯の1世帯当たり消費支出は27万1233円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.8%減少したことが示されました。

物価の上昇に伴って家計の消費行動がシビアになる中、将来の生活設計や家計管理、特にリタイア後の確実な収入源となる公的年金のあり方に対する関心はこれまで以上に高まっています。

「老後は年金だけで暮らせるのだろうか」と、将来の家計に不安を感じる人もいるでしょう。

2026年度は前年度より年金額が引き上げられましたが、実際の受給額は加入期間や現役時代の収入によって異なります。

渡邉 珠紀
IFAとしてこれまで約2000世帯の資産相談に携わってきた経験からも、「平均額を見て安心する・不安になる」だけで終わらせず、ご自身の家計収支に照らして具体的な不足額を確認しておくことが大切だと感じます。

また、65歳以上の無職世帯では、夫婦世帯・単身世帯ともに平均支出が収入を上回っており、赤字が長期間続けば不足額も大きくなります。

本記事では、2026年度の年金額改定や老後の不足額の試算を中心に、老後の家計を考えるうえで押さえておきたいポイントを解説します。

1. この記事の3つのポイント

  • 2026年度は国民年金が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げ
  • 65歳以上無職世帯は夫婦・単身ともに赤字。20年続くと夫婦約1018万円、単身約720万円の不足に
  • 老後の収入減に備えた資産運用の考え方を、実際の相談内容をもとに紹介

2. 日本の公的年金制度

日本の公的年金は、土台となる「国民年金」と、その上に積み重なる「厚生年金」の2階建てになっています。厚生年金の平均受給額は月15万289円、国民年金は月5万9310円ですが、実際の受給額は加入期間や現役時代の収入によって大きく異なります。

より詳しい仕組みや年代別の受給額分布については、こちらの記事でくわしく解説しています。
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

3. 2026年度の年金額は前年度より増額改定に

公的年金の受給額は、物価や賃金の変化を反映し、年度ごとに見直されます。

2026年度は2025年度と比べ、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられました。

3.1 2026年度の国民年金・厚生年金モデル額をチェック

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
  • 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分)(+4495円)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

3.2 シニア世代の家計収支、赤字がふつうってホント?

65歳以上の無職世帯では、夫婦世帯・単身世帯ともに平均支出が収入を上回り、赤字となっています。この赤字が20年続くと、夫婦世帯で約1018万円、単身世帯で約720万円の不足額になる計算です。現役世代のうちから、老後の収支を見据えた準備を始めておくことが大切です。より詳しい家計収支の内訳や貯蓄額については、こちらの記事でくわしく解説しています。
老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額・年金月額・1カ月の生活費をデータで見る

4. 自分の年金収入と老後の支出を照らし合わせよう

本記事では、2026年度の年金額改定や、65歳以上の無職世帯における老後の不足額について解説しました。

家計調査では、夫婦世帯で月4万2434円、単身世帯で月2万9980円の赤字となっており、同じ状態が20年間続くと、それぞれ約1018万円、約720万円の不足になる計算です。

ただし、これは平均値による試算です。

年金見込み額やその他の収入、生活費、税金・社会保険料を整理し、自分の家計における毎月の不足額を確認しておきましょう。