2024年1月にスタートした新NISA制度は、利用者が急増し、政府の目標達成に向けて力強い伸びを見せています。買い付け金額もわずか3カ月で約59兆円に達し、多くの人が積極的に活用していることがわかります。

しかし、NISAでの資産運用は、元本が保証されているわけではありません。資産が増える可能性がある一方で、損失のリスクも存在します。いきなりはじめるのではなく、制度内容を十分に理解し、自身に合った方法をじっくり検討することが大切です。

また、NISAについて「口座は開設したけど何からはじめたらいいの?」「NISA口座の金融機関は今からでも変更できる?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。NISA口座は変更できる期間が限られており、今年の期限は9月30日です。今回はNISA口座を開設している金融機関の変更についての注意点や、毎月5万円を積み立てた場合のシミュレーションを見ていきましょう。

1. NISA、口座のお引越しは今月9月30日まで

NISA口座のお引越し

NISA口座のお引越し

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「NISA口座のお引越し」とは、NISA口座を開設している金融機関を変更することです。この手続きはいつでもできるわけではなく、変更できる期間が決まっています。

口座の引越しができるのは、変更したい年の前年10月1日から、その年の9月30日までとなります。例えば、2025年分のNISA口座をA社からB社に移したい場合、2024年10月1日から2025年9月30日までの間に手続きを完了させる必要があります。

ただし、その年の1月1日以降に、変更前のNISA口座でその年に一度でも投資商品を購入してしまうと、その年の変更はできなくなるため注意が必要です。特に、年をまたいで積立設定をしている場合は、自動で買い付けが行われると、その年のお引越しはできなくなってしまいます。口座を変更したい場合は、年が変わる前に積立設定を必ず解除しておきましょう。

NISA口座を変更するメリットは、選べる商品が増え、より自分に合った運用ができること。また、ポイント付与など金融機関独自のサービスを活用したり、手数料を下げたりすることで、長期的なリターンを最大化できる可能性がある点などがあります。NISA口座を変更したい場合は、まず現在の証券会社と、移管したい証券会社、両方のサイトを確認することをおすすめします。

2. NISA、基本のおさらい「つみたて投資枠」と「成長投資枠」

2024年1月に始まった新NISAは、従来の制度から大きく変わりました。まず、年間投資額がつみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円に増額され、両方の枠を併用できます。

新NISA

新NISA

出所:金融庁「NISAを知る」

また、非課税で投資できる期間が恒久化され、売却後も非課税投資枠が復活するようになりました。新NISAには、投資信託を積み立てる「つみたて投資枠」と、株式など幅広い商品に投資できる「成長投資枠」があり、目的に合わせて使い分けが可能です。

特に「つみたて投資枠」は、一度設定すれば自動で投資が続くため、いわば「ほったらかしOK」で忙しい人でも手間をかけずに長期的な資産形成を目指せます。ただし、完全に放置するのではなく、定期的な見直しも重要です。