3. 公的年金だけに頼るシニア世帯の割合

厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である高齢者世帯は43.4%となっています。

3.1 公的年金・恩給の総所得に占める割合

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているとも読み取れますし、半数以上は年金以外で補填しているとも捉えられます。

3.2 【年金生活シミュレーション】年金月額17万円なら「手取り」はいくら?

試しに、生活費が月額17万円と想定してみます。もし「年金月額が17万円なので100%年金だけでやりくりできる」と想定してしまうと、どれほどの赤字が出るのでしょうか。

手取り額をシミュレーションしてみましょう。

細かな条件によって異なるので、ここでは東京都江戸川区に住む単身世帯の人を想定してみます。この場合、天引きされるお金は年額で所得税約2万3000円、住民税約11万1000円、社会保険料約16万4000円となります。

月額に換算すると約3万円となり、手取り額は14万円前後になることがわかります。

毎月3万円ほどの赤字が発生するとなると、これを補填する「収入」もしくは取り崩せる「貯蓄」が必要だと考えられます。

4. まとめにかえて

年金からも、税金や保険料が容赦なく天引きされます。

老後資金として年金を頼りにしている方は、手取り額にも着目するようにしましょう。

実際、年金だけで生活しているシニア世帯は43.4%です。半数以上は年金以外で補填していることから、老後資金の重要さがうかがえます。

参考資料

太田 彩子