3. 銀行に就職すれば本当に「将来は安泰」なのか?

これまで「銀行員の収入状況」を確認してきましたが、どの年代でも給与所得者全体の平均を上回っており、「銀行員は高収入の職種」であることが明らかになりました。

しかし、「銀行員であれば将来も安心」とは断定できず、デジタル化やAIの進展によって、銀行員の立場も従来のように安定しているとは言い難くなっています。

実際、長引く低金利により貸出業務の収益性は下がり、さらに異業種による金融サービスへの参入や提携が相次いでいます。

加えてデジタル技術の進展によって各種手続きがオンライン化され、店舗の存在意義が相対的に薄れてきました。

その結果、コスト削減の必要性も相まって店舗の統廃合が進み、多くの地域で店舗数が減少しているのが現状です。

実際に財務総合政策研究所「都道府県別預貯金残高と業態別金融機関店舗数の変遷」によると、2001年以降、銀行や信用金庫の店舗数は過去20年間で約13〜33%減少しています。

都道府県別預貯金残高と業態別金融機関店舗数の変遷

都道府県別預貯金残高と業態別金融機関店舗数の変遷

出所:財務総合政策研究所「都道府県別預貯金残高と業態別金融機関店舗数の変遷」

この背景には、利便性を保ちながら効率化やコスト削減を進める動きがあると考えられます。

こういった状況を踏まえると、銀行員が将来にわたり安定したキャリアを築くためには、変化を柔軟に受け止めつつスキルを磨き続ける姿勢が不可欠です。

従来の「安定した職業」という認識にとどまらず、成長し続ける意識を持つことが重要となるでしょう。