5.2 【背景2】非課税投資制度の拡充による資産形成機会の拡大
2つ目に挙げられるのが「非課税投資制度が拡充され、資産形成の機会が拡大したこと」です。
具体的には「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」といった非課税枠のある税制優遇制度によるものです。
NISA制度は2014年に創設されたのち、2024年より「新しいNISA(新NISA)」として拡充・展開されています。
こうした背景により、個人が資産形成にトライする機会が増えてきました。
かつては投資に無関心だった人でも、NISAのスタートをきっかけに運用を始めたという人もいるでしょう。初期段階から運用を開始した人であれば、相応の利益が出ていることが推測できます。
5.3 【背景3】相続や贈与によるもの
富裕層が増加している3つ目の要因は、相続や贈与による資産の承継です。
日本では少子高齢化が進んでいるため、一人あたりの相続額が増加傾向にあります。
これにより、これまで富裕層ではなかったごく標準的な家庭の人々が、親や祖父母からの遺産を相続したことで富裕層になるケースも増えています。
このように、株価の上昇、資産形成の機会拡大、そして資産の承継といった複数の要因が重なり、富裕層が増えていると考えられます。
本人の意図とは関係なく、こうした環境の変化によって富裕層になった人も少なくないでしょう。
6. 家計や資産の状況にあった資産運用を
ここまで、日本の富裕層や超富裕層について解説しました。
また、40歳代未満~50歳代の勤労世帯における「二人以上世帯の1カ月あたりの生活費」の平均についてご紹介しました。
長らく物価高が続いているなかでも、日本では富裕層や超富裕層が増加傾向にあります。
富裕層の方が資産運用を行うコツとして「理解したうえで投資の決断をする」「あらかじめ資産運用の期間や、売買の基準を決めておく」傾向にあります。
資産運用に興味がある方は、今回ご紹介した「富裕層の資産運用のコツ」をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
ライフスタイルや家計、資産の状況に合わせて、資産運用を検討することが大切です。
参考資料
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- 総務省統計局「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)7月分」
安達 さやか