3. 年金、税制改正で基礎控除拡大「年金受給者にどんな影響が出る?」
「令和7年度税制改正」により、所得税の基礎控除額が拡大されました。これによって、公的年金にかかる非課税枠が広がり、源泉徴収(天引き)される税額が少なくなる(あるいは対象外となる)年金受給者が増えることが今後予想されます。そして、結果として、多くの方の年金の手取り額が増えることにつながります。
これにともない、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が、現行の「158万円未満→205万円未満」に引き上げられました。(65歳未満は「現行の108万円未満→155万円未満」に引き上げ)
令和7年分の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎控除額は以下の通りです。
3.1 【年齢別】令和7(2025)年の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎的控除額」
65歳以上
- 2025年12月の精算時
- 公的年金等の月割額×25%+10万円(16万5000円未満となる場合は、16万5000円)
- 2025年の各月の年金支払い時
- 公的年金等の月割額×25%+6万5000円(13万5000円未満となる場合は、13万5000円)
65歳未満
- 2025年12月の精算時
- 公的年金等の月割額×25%+10万円(12万5000円未満となる場合は12万5000円)
- 2025年の各月の年金支払い時
- 公的年金等の月割額×25%+6万5000円(9万円未満となる場合は9万円)
3.2 2025年分の所得税「源泉徴収と還付イメージ」
この改正により、2025年12月の年金支払い時に「1年間の最終的な税額」と「それまでに源泉徴収された税額」との間で精算がおこなわれ、過払い分が生じていた場合は、その差額が還付されます。
4. 年金、税制改正で今後は手取りが増える見込み
今回は、2025年度の年金額の増額改定と、年金収入にかかる税制改正という、老後の生活設計に直結する重要なトピックを解説しました。
物価や賃金の上昇にともない、2025年度の公的年金額は1.9%増額されることが決定しており、今後の支給額に反映されます。また、所得税の基礎控除額が拡大されたことで、年金にかかる非課税枠が広がり、源泉徴収される税額が少なくなる(あるいは対象外となる)受給者が増える見込みです。結果として、年金の手取り額が増える効果が期待できるため、多くの方の家計にとってプラスの影響となります。
ご自身の年金受給額や税負担の最新情報を確認し続けることが、今後の安心できる生活を送るための大切な一歩となります。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
長井 祐人