1.3 統計データからわかること
【年代が上がるにつれて、貯蓄の格差が拡大】
単身世帯・二人以上世帯のどの年代においても、一部の富裕層が全体の数値を引き上げることで「平均値」が「中央値」を大きく上回っています。
特に貯蓄がピークに差し掛かる手前の50歳代ではその差が顕著になり、資産を飛び抜けて多く持つ層と全く持っていない層の二極化が進んでいることが見て取れます。
【年齢による貯蓄額の変化】
平均貯蓄額は年齢とともに増加する傾向があり、20歳代から60歳代まで一貫して上昇しています。
特に40歳代から50歳代にかけて大きく増加し、60歳代でピークに達した後、70歳代ではわずかに減少しています。
これは現役世代の貯蓄増加と引退後の取り崩しを反映していると考えられます。
1.4 単身世帯と二人以上世帯の比較によってわかること
単身世帯と二人以上世帯の貯蓄を比較すると、二人以上世帯の貯蓄は単身世帯の二倍には達していないことがわかります。
この理由としては、以下のような点が考えられます。
【子育て世帯の支出増】
主に子育て期にあたると考えられる30歳代・40歳代では、特に貯蓄額の差が相対的に小さくなっています。
これは、二人以上世帯では子供の養育費や教育費、より広い住居の費用などがかさみ、収入が増えても貯蓄に回せる割合が伸び悩んでいることを示唆しています。
【世帯収入が必ずしも人数に比例しない】
「二人以上世帯」には、共働きだけでなく、一方が扶養内で働く「片働き世帯」も含まれます。
そのため、世帯全体の収入が単身者の二倍に満たないケースも多く、これが貯蓄額に反映されていると考えられます。