心地よい秋風が吹き始め、今後の暮らしについて考える良い季節となりました。公的年金は老後の大切な収入源の一つですが、それだけで生活をすべて賄えるとは限りません。
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の高齢者世帯のうち55.8%が「生活が苦しい」と感じていることが分かっています。
この結果からも、多くのシニア世帯が年金のみでは十分な暮らしを維持できず、経済的に困難さを抱えている実情がうかがえます。
その背景もあり、生活保護を受給している世帯のうち、高齢者世帯が全体のおよそ半数を占めているのが現状です。
では、現在のシニア世代が実際に受け取っている年金額は、月々どの程度なのでしょうか。
本記事では、生活保護を受給している世帯に占める高齢者の割合と、現在のシニア世代が実際に受け取っている年金の実情について解説していきます。
1. 生活保護世帯の約半数が「単身・高齢者世帯」シニアって本当?
厚生労働省が公表した「生活保護の被保護者調査(令和7年5月分概数)」によれば、2025年6月時点で生活保護を受給している人は約199万人に達しました。
これは全人口の1.61%にあたり、日本ではおよそ100人に1人が生活保護を受けている状況となります。
さらに、同調査結果では、生活保護を受けている世帯のうち55.3%が高齢者世帯であり、その中でも51.5%は単身世帯となっています。
【世帯類型別世帯数及び割合(保護停止中を含まない)】
- 高齢者世帯:55.3%
単身世帯:51.5%
二人以上世帯:3.7% - 母子世帯:3.6%
- 障害者・傷病者世帯:25.2%
- その他の世帯:15.9%
これらの統計が示すように、高齢者を取り巻く生活環境はますます厳しさを増しており、生活保護を受給する世帯に占める高齢者の割合、なかでも単身で暮らすシニア世帯の比率はきわめて高い水準に達しています。
では、65歳以上の単身無職世帯、いわゆる年金を主な収入とする世帯の家計収支は、具体的にどのような状況になっているのでしょうか。