5. 【老齢年金】シニア全体の「厚生年金と国民年金」の平均年金月額
次に、60歳以上のすべての受給権者を対象に、「厚生年金」と「国民年金」の平均額や個人差について確認していきましょう。
【国民年金】平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【厚生年金】平均年金月額
※国民年金部分を含む
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
国民年金の平均月額は、全体・男女ともに5万円台です。
受給額の分布を見ると「6万円以上~7万円未満」に属する人が最も多く、満額に近い額を受け取っている人が多いことが分かります。
一方、厚生年金の平均月額は14万円台で、男女別では男性が16万円台、女性が10万円台となっています。
国民年金のみの受給に比べると、厚生年金は受給額が手厚い傾向にありますが、3万円未満の人から25万円を超える人まで幅があり、大きな個人差が見られます。
こうした差は、現役時代の働き方や収入状況が反映されるため、老後の受給額は一人ひとり異なります。
「自分の年金額を知りたい」と思ったら、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で将来の見込み額を確認しておくと安心です。
なお、すでに受給中の方は、日本年金機構から届く「年金額改定通知書」や「年金振込通知書」で実際の金額を確認できます。
6. 公的年金だけで生活できる世帯は少ない?!老後に向けた資産形成は必須
いまのシニア世代は公的年金だけで生活できているのでしょうか。
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、総所得のうち「公的年金・恩給」が100%を占める割合が100%の世帯は43.4%にとどまっています。
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
つまり、残りの56.6%は公的年金以外の所得が必要な状況にあることがわかります。
公的年金だけでは生活費をまかなえない場合、貯蓄を取り崩したり、私的年金や投資からの分配金・配当金などで補う必要があります。
近年はシニア世代の就労環境も整いつつあり、老後も働いて収入を得ている世帯も少なくありません。
ただし、年齢を重ねるにつれて健康や体力の面から働き続けることが難しくなる可能性が高まります。
そのため現役世代のうちから、こうしたリスクを見据えて老後に備え、計画的に資産を築いていくことが望ましいでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編2024年(令和6年)平均結果の概要」
和田 直子