3. 「生活扶助基準額」はいくらもらえるの?
生活扶助を含む「生活保護費」は、厚生労働省が定める基準に従い、世帯ごとの最低生活費から収入を差し引いた差額として支給されます。
なお、この最低生活費の基準は地域ごとに設定されているため、居住地によって受給できる金額は異なります。
生活保護費を算定するうえで基準となる「最低生活費」の計算方法は、以下のとおりです。
最低生活費=A+B+C+D+E+F
- A:「生活扶助基準(第1類+第2類)+特例加算(1人当たり月額1000)+生活扶助本体における経過的加算
- B:障害者、母子世帯、児童の養育等の加算額
- C:住宅扶助基準
- D:教育扶助基準、高等学校等修学費
- E:介護扶助基準
- F:医療扶助基準
最低生活費の基準は地域によって異なり、一般的に都市部ほど高く設定されています。
生活保護制度では、全国を1級地から3級地までの6区分に分け、それぞれに基準額を定めています。
1級地は物価や家賃が高い都市部、3級地は地方を指し、たとえば、2025年時点で東京都23区(1級地-1)に居住する50歳単身男性の場合、生活扶助の基準額は7万5720円です。
この金額に対して、2025年10月からは一律500円が加算される予定となっています。
4. 【最新】2025年6月分調査結果「生活保護」新規申請件数は前年同月比4%増
2025年9月3日、厚生労働省より同6月分の生活保護の被保護者調査結果が発表されました。
被保護者数・被保護世帯数はいずれも前年同月と比べて減少しましたが、新規申請件数は4.0%増加。保護開始世帯数も2.3%増えています。
生活保護世帯の内訳は次のとおり。
- 高齢者世帯:55.3%
・うち単身世帯:51.5%
・うち2人以上世帯:3.7%
- 高齢者世帯を除く世帯:44.7%
・うち母子世帯3.6%
・うち障害者・傷病者世帯:25.2%
・その他の世帯:15.9%
5. 10月から特例加算500円増額も課題は多い状況
本記事では、この生活扶助加算が決定された背景や具体的な給付内容について解説していきました。
政府は、2025年10月から生活保護の生活扶助を500円引き上げることを決定しました。
すでに特例加算として1000円が支給されているため、合計で1500円の加算となります。
ただし、今回の増額は金額が小さく、かつ時限的な措置にとどまるため、物価上昇が続く現状では生活保護を受ける世帯の負担が依然として大きい状況がうかがえます。
厳しい財政事情を踏まえると、単なる保護費の増額だけでなく、受給者がより自立できるような支援策を強化していくことも求められるでしょう。
また、このような追加給付については賛否両論があり、本当に支援を必要としている世帯へ公平かつ適切に行き渡るよう、丁寧な調査と適正な運用が望まれます。
参考資料
和田 直子