国民健康保険料は、居住地の市区町村によって保険料の計算方法や保険料率が異なるため、理解が難しい面があります。
元公務員に取材したところ、「収入がないのに保険料が高くなることに不満が寄せられる」ということも少なくないことがわかりました。
また、「隣県に引っ越ししたら資産を持っているという理由で、保険料が大幅にアップした」「固定資産税も高いのに、国保料も高くなるの?」などの声も聞かれます。
本記事では、所得が少なくても国民健康保険料が高くなるカラクリについて解説します。
保険料の仕組みや地域別の状況も紹介しますので、国民健康保険加入者は確認しておきましょう。
1. 国民健康保険料の計算方法をわかりやすく解説
国民健康保険料は、居住地の市区町村によって異なります。
1.1 計算方法
国民健康保険料は、以下のすべて、またはいくつかの保険料を合計して計算します。
- 所得割:所得に応じて決まる保険料
- 均等割:加入者一人ひとりにかかる保険料
- 平等割:一世帯あたりにかかる保険料
- 資産割:固定資産税額に応じて決まる保険料
均等割は1人あたりの保険料、平等割は1世帯あたりの保険料で定額(市区町村によって異なる)です。
所得割と資産割については、所得や固定資産税額に所定の保険料率(市区町村によって異なる)を掛けて計算します。
1.2 採用する保険料の種類
自治体によって採用する保険料が異なり、次の3方式に区分されます。
- 4方式:所得割と均等割、平等割、資産割を合計して保険料を計算
- 3方式:所得割と均等割、平等割を合計して保険料を計算
- 2方式:所得割と均等割を合計して保険料を計算
ただし、定額の保険料や保険料率は市区町村によって異なるため、また、所得や固定資産税額は個人によって異なるため、必ずしも「4方式が保険料が高く2方式の保険料が安い」わけではありません。
また、同じ県内でも市町村によって、採用する方式は異なります。たとえば、神奈川県では山北町のみ4方式を採用しています。
※国民健康保険料は、医療分(医療給付のための保険料)と介護分(介護給付のための保険料)、後期高齢者支援金分(後期高齢者医療制度への支援金)を合算して算出します。
2. 【国民健康保険料】所得が少ないのに保険料が高いのは4方式の自治体
所得が少ないにもかかわらず国民健康保険料が高いと感じるのは、居住地が4方式を採用している市町村である可能性があります。
所得は少なくても、資産割が高額となるケースがあるからです。
資産割を採用する自治体で、国民健康保険料の負担が大きいのは次のようなケースです。
- 年金収入はあまりないが持ち家を所有している
- 農業収入はあまり多くないのに広い土地を所有している
- 住んでいないが相続で親に資産を引き継いだ
- 個人事業主で事業用の不動産を所有している など
所得が低い人には均等割や平等割の軽減措置がありますが、資産割には適用されません。このため、固定資産税額が多いと経済的負担を減らすのは難しいと言えます。
ここまで、国民健康保険料の計算方法と資産割によって保険料が高くなるケースなどについて解説しました。次章では、資産割を採用する市町村の状況や都道府県別の状況を紹介します。
3. 【国民健康保険料】資産割を採用するのは小規模の市町村
資産割(4方式)を採用するのは、比較的小規模の市町村です。
統計局の資料によると、規模別の保険料計算方法(医療分)は次の通りです。4方式を採用する市町村の約7割は、保険者数が5000人未満です。
- 5000人未満:4方式が212・3方式が594・2方式が27
- 5000人以上1万人未満:4方式が47・3方式が260・2方式が21
- 1万人以上5万人未満:4方式が44・3方式が331・2方式が80
- 5万人以上10万人未満:4方式が1・3方式が51・2方式が14
- 10万人以上20万人未満:4方式が0・3方式が13・2方式が10
- 20万人以上:4方式が0・3方式が5・2方式が4
- 合計:4方式が304・3方式が1254・2方式が156
4. 【国民健康保険料】都道府県別の保険料計算方法
都道府県別に保険料の計算方法を見ると次の通りです。北海道や東北、四国地方で資産割(4方式)を採用する市町村が多くなっています。
国民健康保険料の地域格差解消などを目的に、資産割を採用する市町村は減少傾向にあります。しかし、国民健康保険の財政状況や負担の増える住民への配慮などから、すぐに保険料計算方法を変えるのは難しいでしょう。
5. まとめにかえて
国民健康保険料は、市区町村によって保険料の計算方法や保険料率などが異なります。また4方式の自治体では、固定資産税額が大きいと保険料が高くなる傾向です。
特に、収入が少ないのに高額の土地や建物を所有している場合、資産割で経済的な負担を感じるかもしれません。
しかし、保険料を下げるために、すぐに固定資産を売却する、保険料の安い自治体へ引っ越す、などは難しいでしょう。
引越し費用がかかるなど、デメリットも考えられます。まずは、自分の支払っている保険料の仕組みを理解した上で、時間をかけて対応を検討してみましょう。


