4. 【後期高齢者医療制度】財政状況と今後の保険料
後期高齢者医療制度の医療費は、病院窓口負担分を除くと約4割が後期高齢者支援金(現役世代の負担分)です。加入者の負担割合は約1割にすぎず、現役世代の負担増の一因となっています。
2023年の法律改正では、「全世代型社会保障改革(※)」の一環として保険料の負担増加につながる次の制度改正が行われました。
※高齢者だけでなく子どもや現役世代など全世代を支える社会保障全般を持続可能なものとする改革のことです。
- 「後期高齢者の保険料」と「現役世代の支援金」の伸び率を同じにする
- 出産育児一時金に必要な費用の一部(7%)を後期高齢者の保険料から支援する
改正前は、現役世代の支援金の方が伸び率が高かったため、伸び率を同じにすることで後期高齢者の負担は大きくなります。また、出産育児一時金に必要な費用の一部を、新たに負担することになりました。
5. まとめにかえて
後期高齢者医療制度の保険料は2年連続の引き上げとなり、2025年度の平均保険料は年額8万6306円となりました。
同時に保険料の上限額も73万円から80万円にアップしています。保険料の上限額に達するのは、年収およそ1000万円の高所得者です。
子育て世代や現役世代の負担増加を抑えるために、所得のある高齢者には今後とも一定の負担が求められると予想されます。老後生活に密着した制度であるため、今後の動向にも注意しましょう。
参考資料
西岡 秀泰