近年、60歳を過ぎても働き続ける「シニア就業者」が確実に増えています。
その背景には、定年延長や再雇用制度の広がり、健康寿命の延びといった社会的要因だけでなく、年金だけでは生活費や医療費をまかなうのが難しいという現実的な事情もあります。
こうした中で「自分も公的な支援を受けられないか」と気になる方も多いでしょう。実は、高齢期にこそ申請することで利用できる制度や給付金は少なくありません。
年金受給者を対象にした「年金生活者支援給付金」や、医療費負担を軽減する「高額療養費制度」、さらには再就職や短時間勤務を後押しする支援など、多岐にわたる仕組みが用意されています。
本記事では、2026年度に予定されている制度改正の動向もふまえ、シニア世代の就労や年金生活を支える公的支援制度をわかりやすく解説していきます。
1. 年金と合わせてもらえる「年金生活者支援給付金」と「加給年金」
主な公的制度のうち、公的年金に関わるお金について見ていきましょう。
1.1 年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金制度は、公的年金等の収入や所得が一定基準以下の年金受給者に対し、生活の支援を目的として年金に上乗せして支給される制度です。
支給要件
【老齢年金生活者支援給付金の支給要件】
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
なお、障害年金および遺族年金の受給者については別途要件が定められています。
給付額
老齢年金生活者支援給付金: 月額5450円(2025年度基準)
※実際の支給額は、保険料納付済期間や所得状況により異なります。
申請手続き
例年9月以降に日本年金機構から送付される「年金生活者支援給付金請求書」を提出