9月に入ると基礎年金を受給している方のもとに「緑の封筒」が届く場合があります。これは、新たに「年金生活者支援給付金」の対象となった方に、日本年金機構から送られるお知らせです。
※老齢年金を繰上げ受給中の人には、別の様式で届きます。
年金生活者支援給付金は、年金や所得が一定基準以下の方を対象に、通常の年金に上乗せして支給される制度で、2019年にスタートしました。受給中の年金の種類に応じて3つの給付金が用意され、支給は2カ月に1度です。次の年金支給日は10月15日ですが、今回はこの年金生活者支援給付金について解説します。
1. 【年金生活者支援給付金】支給要件の所得はいくら?
年金生活者支援給付金には、《老齢年金・障害年金・遺族年金》それぞれに支給要件が設けられています。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」を受け取れるのは、それぞれの基礎年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給している方です。また、障害年金や遺族年金などの非課税収入をのぞいて前年の所得額が「所得額が472万1000円に、扶養親族等の数に応じた金額を足した合計額以下であること」が支給要件となります。
一方で、「老齢年金生活者支援給付金」のみ受給者本人の所得に加え、年齢や世帯全体の状況も支給要件に加わる点に注意が必要です。
1.1 「老齢年金生活者支援給付金」もらえるのはどんな人?
「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件をみていきましょう。
判定に用いる所得には障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれませんが、本人の所得とともに、年齢や世帯全体の住民税課税状況が支給要件に含まれます。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下
補足的老齢年金生活者支援給付金とは?
年金生活者支援給付金は、所得などの一定基準に該当する人で「年金だけでは生活が苦しい人」を助けるためにある給付金です。この給付金では「所得などの一定基準のギリギリ」で給付された人と給付されなかった人がいたら不公平感が生じるおそれもありますよね。基準額をわずかに超えて給付対象とならない人には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されることになります。
補足的老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が下記となる人です。
- 1956年4月2日以後に生まれた人:78万9300円超~88万9300円以下
- 1956年4月1日以前に生まれた人:78万7700円超~88万7700円以下
所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。
2. 【年金生活者支援給付金】2025年のもらえる金額はいくら?
年度ごとに見直しが行われる年金生活者支援給付金の給付金。2025年度は、物価が上昇したことを踏まえ前年度より増額した金額を6月の「4・5月分の給付金」から支給しています。
2.1 【2025年】年金生活者支援給付金の給付額
【2025年度】
- 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに、保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が計算されます。
なお、「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月において認定されている「件数」と「平均給付月額」は以下の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金:456万7219件 / 4014円
- 補足的老齢年金生活者支援給付金:105万9912件 / 2116円
- 障害年金生活者支援給付金:214万43件 / 5555円
- 遺族年金生活者支援給付金:7万7909件 / 5057円