老後を迎えたあとの生活について、「公的年金が生活を支える柱になる」と考える方は多いでしょう。
ただし、「年金だけで生活費を賄えるかどうか」は不安が残るもの。「老後2000万円問題」などが話題になったこともあり、多くの方は貯蓄やNISA、iDeCoなどで老後に向けた自助努力を進めています。
実際、厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2022年時点で高齢者世帯の43.4%が「公的年金・恩給のみで生活している」という結果も明らかになりました。
半数以上の高齢者世帯は、年金以外の何等かの収入にて補填しているのです。
では、実際にリタイア後の夫婦はどの程度の貯蓄を保有し、毎月いくらで生活しているのでしょうか。
本記事では、公的データを基に「リタイア後の65歳以上夫婦の平均的な貯蓄額や生活費」の内訳を詳しく解説します。
1. リタイア後の65歳以上夫婦「生活費」の平均
まずは総務省統計局が公表する「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」より、65歳以上無職夫婦世帯におけるひと月の家計収支データを見ていきます。
1.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の毎月の実収入
25万2818円(うち社会保障給付:22万5182円)
1.2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の毎月の支出
28万6877円(うち消費支出:25万6521円)
消費支出の内訳は次のとおりです。
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- うち諸雑費:2万2125円
- うち交際費:2万3888円
- うち仕送り金:1040円
うち非消費支出(3万356円)の内訳は次のとおりです。
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
上記により、毎月の家計収支は平均で3万4058円の赤字であることがわかりました。
なお、この支出には「介護費用」は含まれておらず、住居費も1万円台にとどまっています。世帯構成や健康状態などによっては、今後さらに出費が増える可能性もあるため、十分な備えが求められます。
不足分は貯蓄を取り崩すなどして補う必要があります。