長寿時代の今、60歳を過ぎても働き続けるシニアの方が増えています。夏の暑さも和らぎ、秋風が心地よい季節になりました。みなさんは仕事や年金のことでふと不安に感じることはありませんか?
筆者は元銀行員として、窓口業務で多くのお客様の年金や退職後のお金の相談の対応をしてきました。その中で、多くの人が「知っていればもっと早く準備できたのに」と後悔している姿を目の当たりにしてきました。
今回は内閣府の調査結果をもとに、老後の生活を支える「年金」と「仕事」にまつわるお金について【年金とは別にもらえるお金5選】として解説します。特に、申請しないと受け取れない給付金や手当について、ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
1. 【年金とは別にもらえるお金5選】申請しないともらえない2つの給付
シニアの暮らしとかかわりが深い公的年金には、本来の老齢給付(老齢年金)を補完する制度がいくつかあります。
今回はこのうち、老齢年金を受給中の人が一定要件を満たす場合に「年金に上乗せされる」2種類の給付を紹介します。
1.1 【その1】年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給中で一定の所得要件を満たす人が受け取ることができるお金。老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金それぞれに給付金が設けられています。
ここではシニアの暮らしと関連が深い「老齢年金生活者支援給付金」にフォーカスします。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は88万7700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額(2025年度)は月額5450円です。
上記はあくまで基準額であり、実際の支給額は月額5450円を基準に保険料納付済期間などにより計算され、下記①と②の合計額となります。
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5450円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
- ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1151円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月
例)国民年金保険料を全期間(40年間)納付した場合、2025年度は「月額5450円=年額6万5400円」の給付金が支給されます(昭和16年4月1日生まれまでの方は計算が異なります)。