朝晩に秋の気配を感じる9月。夏の暑さが和らぎ、家計や将来について考えるにはちょうど良い季節です。

特に65歳以上のシニア世代にとって、年金収入だけで生活費をまかなうのは簡単ではありません。夫婦二人での生活に必要な費用はどれくらいか、実際に受け取れる年金額はどの程度かを把握しておくことが大切です。

物価上昇が続く現状では、老後資金の準備はますます重要になっています。本記事では、無職夫婦の平均的な生活費や年金額を詳しく解説し、安心して老後を過ごすために今からできる対策について考えていきます。

1. 【65歳以上】無職夫婦の「ひと月の生活費」

総務省統計局が2025年3月11日に公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支データをのぞいてみましょう。

毎月の実収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円

毎月の支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
    • うち諸雑費:2万2125円
    • うち交際費:2万3888円
    • うち仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

毎月の家計収支

  • 3万4058円の赤字

この世帯のひと月あたりの支出は合計28万6877円です。内訳は、税金や社会保険料などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる生活費にあたる「消費支出」が25万6521円でした。

一方、収入は25万2818円で、その約9割(22万5182円)を公的年金などの社会保障給付が占めています。

結果として、家計収支は毎月3万4058円の赤字に。この不足分は主に貯蓄の取り崩しなどでカバーする必要があります。

この支出データには、注意しておきたい点もあります。

まず、シニア世帯は持ち家率が高いため、住居費が1万円台と低く抑えられています。また、介護費用が含まれていない点も盲点でしょう。

そのため、賃貸住宅にお住まいの場合や、健康状態に不安がある場合などは、家賃や介護費用などが上乗せされることを想定しておく必要があるでしょう。