3. 特例的な繰下げみなし増額制度とは

「特例的な繰下げみなし増額制度」とは、70歳以降に一括受給するときに適用される特例制度です。

これにより、「一括受給請求日の5年前に繰下げ受給を請求した」ものとみなし、増額した年金を一括で受給できます。

例えば、72歳で一括受給の請求をした場合、67歳(5年前の同日)で繰下げ受給を請求したものとして増額した年金の5年分を受け取ります。65歳時の年金額を100万円とした場合、一括受給する年金額は次の通りです。

  • 67歳繰下げ受給開始時の年金額:100万円×(100%+0.7%×24ヶ月)=116万8000円
  • 一括受給する年金額:116万8000円×5年=584万円

特例的な繰下げみなし増額制度のイメージ

特例的な繰下げみなし増額制度のイメージ

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

年金には「5年の時効」があるため、原則5年を経過して請求した年金はもらえません。70歳以降に一括請求したときに時効による不利益が生じないようにこの制度が設けられました。

繰下げみなし増額制度がなければ、前述のケースでは年金額は100万円のままで65歳から2年間分の年金は時効で受給できません。

この制度により、一括受給する年金額は84万円増え、72歳以降の年金額も毎年16万8000円増えます。