6. 【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】シニアの「家計収支」の平均はいくら？
前章で紹介した「月に約22万円」という年金収入で、夫婦二人の生活費をまかなえるのかは、多くの方が気になる点ではないでしょうか。
そこで本章では、総務省の家計調査報告をもとに、標準的なシニア夫婦世帯の家計収支データを確認していきます。
6.1 65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均収入「25万2818円」
■うち社会保障給付（主に年金）：22万5182円
6.2 65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均支出「28万6877円」
■うち消費支出：25万6521円
- 食料：7万6352円
- 住居：1万6432円
- 光熱・水道：2万1919円
- 家具・家事用品：1万2265円
- 被服及び履物：5590円
- 保健医療：1万8383円
- 交通・通信：2万7768円
- 教育：0円
- 教養娯楽：2万5377円
- その他の消費支出：5万2433円
- うち諸雑費：2万2125円
- うち交際費：2万3888円
- うち仕送り金：1040円
■うち非消費支出：3万356円
- 直接税：1万1162円
- 社会保険料：1万9171円
6.3 65歳以上・夫婦のみの無職世帯の平均的な「家計収支」
- ひと月の赤字：3万4058円
- エンゲル係数（※消費支出に占める食料費の割合）：29.8%
- 平均消費性向（※可処分所得に対する消費支出の割合）：115.3％
65歳以上の夫婦世帯の家計を見てみると、毎月の収入は25万2818円で、その大半を公的年金などの社会保障給付が占めています。
一方、月々の支出は合計28万6877円で、そのうち消費支出（食費・住居費・光熱費など生活に必要な費用）が25万6521円、非消費支出（税金や社会保険料）が3万356円となっています。
注目すべきは、消費支出に占める食費の割合である「エンゲル係数」が29.8％と高めである点です。
65歳以上の夫婦世帯では、食費が家計の中で大きな割合を占めていることが分かります。
さらに、平均消費性向は115.3％と100％を超えており、収入より支出が上回る状態、つまり赤字になっています。
具体的には毎月3万4058円の赤字が生じており、この不足分は主に貯蓄の取り崩しで補うことになります。
シニア世帯は現役時代のように安定収入を得にくいため、こうした赤字が続けば長期的に貯蓄が減少してしまいます。
そのため、現在の貯蓄水準を踏まえ、今後の生活設計を慎重に考える必要があります。
