9月に入り、台風や残暑が落ち着きはじめる一方で、敬老の日を控え「シニア世代の暮らし」に注目が集まる時期となりました。
2025年6月10日に公表された令和7年版「高齢社会白書」(内閣府)によると、65歳以上で定期・不定期を合わせて「収入を伴う仕事をしている」人は35.6%にのぼっています。
働くことがシニア世代の生活基盤に欠かせない要素となりつつあります。本記事では、こうした背景を踏まえ、シニア世代のひと月の生活費や貯蓄額・年金事情に焦点を当て、老後の家計の実態を解説します。
1. 【シニアの生活意識調査】生活が苦しい高齢者は「5割超」
まずは、厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を参考に、高齢者の生活に対する意識調査の結果を確認してみます。
この調査結果によると、高齢者世帯の生活意識は次のようになっています。
1.1 高齢者世帯の生活意識の結果をチェック
- 大変苦しい:25.2%
- やや苦しい:30.6%
- 普通:40.1%
- ややゆとりがある:3.6%
- 大変ゆとりがある:0.6%
「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせた「苦しい」の回答は55.8%に上りました。
高齢者世帯では「普通」と答えた人よりも、「苦しい」と感じている人の方が多い状況です。
とはいえ、全世帯全体の「苦しい」の割合が58.9%であることを踏まえると、高齢者世帯に限った場合はやや低い水準となっています。