2. 介護保険料が年金から天引きされないのはどんな人?

以下の要件に当てはまる場合、介護保険料は年金から天引きされません。

  • 年金受給額が年額18万円未満の人
  • 年度の途中で65歳になった人
  • 年度の途中でほかの市区町村から転入した人
  • 天引き対象の年金が支払停止となった人

それぞれのケースについて解説します。

2.1 年金受給額が年額18万円未満の人

年間の年金受給額が18万円未満(月額1万5000円未満)の場合、年金から介護保険料は天引きされません。

年金には65歳から受給できる老齢年金のほかに、障害認定時に支給される障害年金、親族が亡くなった際に遺族に支給される遺族年金があります。それぞれの合計受給額が18万円に満たない場合、介護保険料は天引きされません。

2.2 年度の途中で65歳になった人

年度の途中で65歳になった場合、年金の受給開始直後は介護保険料が年金から天引きされません。

65歳になると、市区町村は日本年金機構などと情報を照合し「年金を受給しているか」「介護保険料の天引きの対象となるか」を確かめます。この確認には6ヵ月程度の期間がかかるため、確認が完了するまでは年金から保険料は天引きされないのです。市区町村によっては、確認にさらに時間がかかる場合もあるでしょう。

天引きが開始されるまでは、納付書または口座振替で介護保険料を納める必要があります。

2.3 年度の途中でほかの市区町村から転入した人

年度の途中でほかの市区町村から転入した人も、天引きの対象外です。年度の途中で65歳になった人と同様に、市区町村が日本年金機構との情報照合を行います。これにより、それまで天引きされていた人も、転入直後は一時的に天引きが停止されるのです。

この場合は、年金事務所で住所変更が完了してから約6ヵ月ほど経つと、天引きが始まります。

2.4 天引き対象の年金が支払停止となった人

介護保険料が天引きされていた年金が支払停止となった場合、天引きも停止されます。年金の支払いが停止されるケースは以下のとおりです。

  • 複数の年金の受給権を有していて、どちらかの年金の支給を選択した場合
  • 現況届が期限までに提出されなかった場合

たとえば、障害年金から介護保険料が天引きされていた人が老齢年金も受給できるようになったとしましょう。この際、障害年金の受給をやめて老齢年金の受給を始めると、介護保険料の天引きは停止されます。

また、日本年金機構が住民基本台帳ネットワーク上で受給者の生存を確認できない場合などに提出が必要な「現況届」の提出がない場合も、天引きの停止対象です。

特別徴収の再開は、居住する市区町村が日本年金機構に特別徴収の再開依頼をして以降、初めて迎える10月の年金支給からです。

次章では、普通徴収での介護保険料の納付方法や注意点を解説します。