愛人の存在によって趣味を広げられたという人もいました。ある富裕層の人は仕事一筋でやってきて、趣味と呼べる趣味がないというのが悩み。しかし、音楽が趣味の女性と付き合ったことで、一緒にクラシックのコンサートへ足を運んだり、ピアノの演奏会へ行ったりするようになったと言います。

富裕層の仲間入りをするにあたって、クラシック音楽や芸術の話は一通りできるようになっておいたほうがいいだろうと思っていたのだそうですが、なかなか自分ひとりだとそうした場に足が向かなかったのだとか。

その人は、その女性とコンサートの後に釣り合うような感想を言い合いたくて、クラシック音楽を懸命に勉強したと言っていました。そのおかげで、様々な集まりで音楽の話題が出てもひるまずに、自分なりの話が少しはできるようになったと言っていたのが印象的です。

若い女性のトレンドを知ることができるという話をしてくれた人もいました。その人の相手はかなり若い女性だったようですが、彼女と話すことは若い人のトレンド、若い人の関心が何に向いているかを知る良い機会になると言っていました。ジェネレーションギャップを逆手に取ったケースなのかもしれません。

妻をビジネスパートナーとしているため

お金持ちの中には、奥様をビジネスパートナーとしている人もいます。夫婦で事業をやっていたり共同経営者になっていたり、有能なアドバイザーとして奥様をそばに置いておきたいというケースです。

しっかり話を聞いたことがあるのは1組ですが、そこは完全にお互い割り切った関係で、子どももいないと言っていました。ただ、お互いにビジネスの才能は認め合っていて、一生の伴侶としても申し分ないと。

しかし恋心のようなものは抱けずに、お互いほかに恋人がいるという話も。それに嫉妬しないのかと不躾に訊ねたこともありましたが、そんなことよりも彼女とは仕事の話が楽しいから、彼女の恋人の話などどうでもよいとのこと。

また、結婚という契約で縛ればお互いどんなに仕事が苦しくても逃げられない、と笑っていました。結婚の新しい形を目撃したような気分でしたが、そうした状態を維持できるのもお金があるからなのかもしれません。

おわりに

お金持ちが愛人をつくるのは、自分の欲や見栄のためだけではなく、その副産物を重視している場合もあるようでした。愛人を持つことにはもちろん倫理的な問題がありますが、自分のことを高めてくれる、自分のモチベーションを上げてくれるなど、彼らがどういう考え方をしているのかには意外な一面もあったのではないでしょうか。

大塚 ちえ