2. 高齢者のおひとりさま世帯では「約3割」が賃貸

同調査から、65歳以上の世帯員がいる主世帯(以下「高齢者のいる世帯」)の推移を見ると、2013年には2000万世帯を超え、2023年には2375万世帯に達しました。主世帯全体に占める割合は42.7%となり、2018年と比較しても増加傾向が続いています。

高齢者のいる世帯数及び割合の推移-全国(1993年~2023年)

高齢者のいる世帯数及び割合の推移-全国(1993年~2023年)

出所:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」

住宅の所有関係をみると、「高齢者のいる世帯」全体では持ち家が81.6%と高く、借家は18.2%にとどまっています。これは、主世帯全体の持ち家率(60.9%)を大きく上回る数字です。

世帯の型、住宅の所有の関係別割合(高齢者のいる世帯)-全国(2023年)

世帯の型、住宅の所有の関係別割合(高齢者のいる世帯)-全国(2023年)

出所:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」

一方、「高齢単身世帯」に限ると借家の割合は32.2%に上り、高齢者のいる世帯全体と比べて賃貸住まいの比率が高くなっています。

家賃は物価や需要の変化によって今後も上昇する可能性があり、年金だけでは生活費を賄いきれないケースも考えられます。

特に、賃貸で老後を過ごす予定の人や「おひとりさま」の生活を見据えている人は、将来的な家賃負担を念頭に置き、早い段階から資産形成や生活設計を進めておくことが重要です。

2.1 高齢者向け設備がある住宅は増加傾向に

高齢化社会が進行するなか、高齢者の居住を想定した設備が整った住まいは増加傾向です。

高齢者等のための設備状況別住宅数-全国(2018年、2023年)

高齢者等のための設備状況別住宅数-全国(2018年、2023年)

出所:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」

高齢者等のための設備がある住宅は3115万5000戸にのぼり、全体の56%を占めています。2018年と比べても5%以上上昇していて、着実に高齢者の居住に備えた家は増えています。

「手すりがある」「またぎやすい高さの浴槽」「段差のない屋内」などすべての設備で割合が増加しました。また、新たに浴室暖房乾燥機を選択肢に加えてますが、こちらは全住宅の22.9%に設置されています。

このように高齢者の居住に適用した住宅は確実に増えています。これから住まいを検討する高齢者の方は、ぜひこうした高齢者向け設備の整った住宅も選択肢に入れてみましょう。