来月8月15日は年金支給日ですが「今もし離婚したら、将来受け取る年金ってどうなるの?」と、もしかしたら不安に思う方もいるかもしれません。
じつは、離婚後の年金に影響を与える可能性がある「年金分割制度」というものがあります。これは、夫婦だった期間の厚生年金の保険料納付記録を分け合い、それぞれの将来の年金額に反映させる大切な制度なんです。
でも、知っておいてほしいのは、この制度は申請しないと受け取れない仕組みだということ。今回は、この年金分割制度について、その仕組みや、実際にどのくらいの年金額に影響があるのかを、分かりやすく解説していきます。
1. 年金分割を利用している夫婦はわずか約2割!その実態とは?
厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」の厚生年金保険(第1号)における離婚等に伴う年金分割の状況」をみていきましょう。厚生年金に加入していた夫婦の年金分割が実施されたのは3万2642件でした。このうち、合意分割は2万1625件、配偶者の合意が不要な3号分割は1万1017件でした。
このデータから、厚生年金に加入していた夫婦の離婚においても、年金分割制度の利用は全体の約17.8%(※)にとどまっており、活用が進んでいない実態が明らかです。特に3号分割は単独で請求できますが、件数は1万件強です。年金分割には合意分割と3号分割の2種類があり、手続きを行わなければ受けられないことが、利用が進まない要因の一つと考えられます。
※この割合は、同資料内の年金分割の実施件数3万2642件を、厚生年金被保険者における離婚件数(離婚等に伴う標準報酬改定請求の申立件数)18万4223件で割って算出したものです。日本の全離婚件数に対する割合ではありません。