この記事の読みどころ

今回の急落相場は、まだ二番底をつけに行く過程と考えられます。

前回の「5.23ショック」時は、五番底、六番底まで下落したことを思い起こす必要がありますが、一方で急落開始から底値をつけるまでの時間と価格の推移を見る限りでは、今回の急落相場も底値がそう遠くはないと見ることもできます。

仮に底値をつけたとしても、早期に回復するとは限らず、個人投資家は底値を拾うことを考えずに、じっくりと底値を確認することをお勧めしたいと思います。

まだ二番底を試す今回の急落相場

2015年9月4日の東京市場はまたしても大幅下落となり、TOPIXはザラバ安値、終値ともに8月25日に次ぐ安値となりました。同日の海外市場も大幅続落となったことから、日本の株式市場は引き続き、いわゆる“二番底”を試しに行く過程にあると考えられます。ちなみに、9月4日の日経平均株価は、ザラバ安値、終値ともに8月25日の安値を更新済みであり、既に二番底を付けています。今回の急落相場、とりわけ8月中旬以降に始まった急落相場(Longineでは「第2次中国ショック」と呼んでいます)は、アベノミクス始動以降では、2年前の「5.23ショック」(別名:バーナンキショック)に次ぐ規模であり、よくある“株価調整”という域を超えています。今回の急落相場と前回の急落相場では、その背景も異なるため単純に比較できるものではありませんが、類似点と相違点を探ってみました。

前回の急落相場の特徴は底値を試し続けたこと

まず、前回の「5.23ショック」を振り返ってみましょう。2013年5月23日、それまで過熱感を伴いながら上昇し続けていた株価は突如急落し、TOPIXは▲6.9%(終値、前日終値比)となりました。これは、過去のブラックマンデーやリーマンショック後の一連の急落ほどではなかったものの、歴史的にも特筆すべき下落の1つとなりました。この日の急落があまりに凄まじかったため、「5.23ショック」と称されて強く記憶に残るものになっていますが、実際は、その後も底値を試し続けたことが大きな特徴です。5月23日の急落以降、底値の数え方にもよりますが(特に三番底の数え方)、二番底どころか、五番底、六番底をつけに行っていることがわかります。それと比べると、まだ二番底をつけようとしている今回の急落相場は、終わりが見え始めたとは言い難い状況です。

底値を拾いに行くのではなく、底値を確認しに行こう

前回の急落相場のもう1つの特徴は、六番底(あるいは五番底)で底値を打った後、回復まで長時間を要したことです(急落直前の高値に戻るまで約7か月かかりました)。まだ底値が確認できていない今回の急落相場が、回復までに同様の長期間を要するかは判断できません。ただ、個人投資家は、今慌てて拾いに行く必要はないと考えていいと思います。重要なのは、底値を拾いに行くことではなく、底値を確認しに行くことでしょう。底値を拾うということは、機関投資家でも狙ってできるものではないのです。

注:本記事は個人投資家向け経済金融メディアLongine(ロンジン)の記事をダイジェスト版として投信1編集部が編集し直したものです。

【2015年9月7日 投信1編集部】

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LIMO編集部