アベノミクス以降、これまで資産運用に積極的ではなかったが、日本株の上昇に乗り遅れたくないとお考えの方もいらっしゃると思います。その際に、一番身近な日本株への投資を検討したいという方も多いでしょう。

ただ、資産運用を始めたばかりだったり、これから資産運用を始めようという場合は、いくら身近な日本株といってもどの株を購入してよいか判断しにくいですよね。そういう時、プロの投資家が運用をしてくれる投資信託なら、すぐに購入して資産運用を始めることができます。

■目次■

1 日本株の投資信託とは
 1.1 投資信託はシェフおすすめの厳選コース料理
 1.2 投信信託にも2種類ある―初心者はアクティブファンドから
2 資産運用初心者に分かりやすい日本株の投資信託を見極めるポイントとは
 2.1 まずは保有銘柄数を確認しよう
 2.2 純資産は投資信託の継続性を確認するポイント
 2.3 信託報酬という投資家にとっては確実に持ち出しとなるコスト
 2.4 ファンドマネージャーの経歴
 2.5 過去の運用パフォーマンスはチェックすべきか
3 代表的な日本株のアクティブファンド
4 まとめ

1 日本株の投資信託とは

1.1 投資信託はシェフおすすめの厳選コース料理

日本株の投資信託とはどのようなものでしょうか。

投資信託は多くの個人投資家からお金を集めて、その資金をもとに様々な銘柄に投資をする仕組みです。個人投資家が日本株に投資をするといっても、よほどの運用資産(資産運用にまわすことができる余裕資金)がない限りたくさんの銘柄に分散投資するのは難しいと思いますが、投資信託を購入することで、少額の資金でも分散投資が可能になるのは、投資信託の最大のメリットの一つです。

1.2 投信信託にも2種類ある―初心者はアクティブファンドから

日本株の投資信託と一口に言っても、まずは大きく2つに分けることができます。それは、アクティブファンドとインデックスファンドです。

中でも、資産運用初心者で投資経験が短い人におすすめなのが、アクティブファンドです。ファンドマネージャーと呼ばれるプロの投資家が、あなたに代わって、約3,500社もの上場企業の中から厳選した銘柄を選んで投資してくれます。レストランに例えると、シェフおすすめのコース料理と言えるかもしれません。自分で個別の日本株に投資する場合と異なり、プロに運用を委託する費用(信託報酬)が必要となりますが、少額の資金でもプロ厳選の銘柄に簡単に投資することができて便利です。

一方、インデックスファンドは、日本を代表する株価指標である日経225やTOPIX、JPX日経400といった指標に連動した運用を目指しています。もしあなたが株式相場が上昇すると思われるのであれば、インデックスファンドへの投資もおすすめです。プロの投資家が積極的に銘柄調査をしない分、信託報酬もアクティブファンドに比べて割安です。

  主な種類 対象者
アクティブファンド
  • 時価総額の大きく優良な銘柄中心(ブルーチップファンド)
  • 成長期待のある銘柄中心(グロースファンド)
  • 株価が割安な銘柄中心(バリューファンド)
  • プロの投資家の運用で、TOPIXや日経225などを上回るパフォーマンスを積極的に期待する方向け
インデックスファンド
  • 日経225やTOPIX、JPX日経400といった株価指標に連動する銘柄中心
  • 株式相場の見通しを自分で持ち、プロに任せず、トレンドで利益を得たい方向け

2 資産運用初心者に分かりやすい日本株の投資信託を見極めるポイントとは

日本株で良いアクティブファンドを見分けるポイントは何でしょうか。ランキング上位の投資信託が正解なのでしょうか。それとも別の見分け方があるのでしょうか。

2.1 まずは保有銘柄数を確認しよう

アクティブファンドで初めに注目すべき点は、投資信託で保有している銘柄数です。プロの投資家であるファンドマネージャーが真剣に銘柄を選択すると、一般的に投資信託に組み入れる銘柄の数は少なくなります。50銘柄以内であれば、かなり絞り込んでいると言って差し支えないでしょう。

一方、ファンドマネージャーが、あれもこれもと投資信託に組み入れてしまい、結果200銘柄や300銘柄が組み入れられているようなアクティブファンドもあります。これでは、日経225のインデックスファンドを購入しているのとあまり違いが出なくなります。

一般的に、アクティブファンドの方がインデックスファンドよりも投資家が支払うコスト(信託報酬と言います)は高いため、高い手数料を払ってインデックスファンドと大して変わらないものを買うのは避けたいところです。その意味で、銘柄数のチェックは重要です。

2.2 純資産は投資信託の継続性を確認するポイント

純資産の金額も投資家にとって重要です。純資産額が100億円の投資信託で、運用会社(委託会社)に入ってくる収入はどれくらいでしょうか。

信託報酬が純資産の1.55%の投資信託では、そのうち運用会社(委託会社)に入ってくるのは0.7%程度です。残りは、証券会社などの販売会社と信託銀行である受託会社の収入となります。

したがって、100億円の投資信託であれば、運用会社(委託会社)の収入は7000万円ということになります。この中から、ファンドマネージャーの給与、その運用をサポートする業務への支払いや広告宣伝費を支払うことになります。運用会社からすると、純資産が100億円程度はないと、継続的にその投資信託を取り扱うインセンティブもなくなるのではないでしょうか。そうした観点から純資産は重要です。

ただし、純資産が大きくなりすぎるとファンドマネージャーが運用する際に、機動的に運用することができなくなります。日本株の投資信託であれば、1,000億円程度が運用しやすいというファンドマネージャーの声もあります。

2.3 信託報酬という投資家にとっては確実に持ち出しとなるコスト

投資信託は、運用会社(委託会社)、証券会社や銀行(販売会社)、信託銀行(受託会社)などの多くの関係者がかかわっている金融商品なので、運用を任せるということになれば費用が発生するのは当然ですが、その費用は安いことにこしたことはありません。

たとえば、アクティブファンドでは、信託報酬が1.5%の投資信託をよく見かますが、実際の運用でベンチマーク(運用の基準となる株価指標。日経225やTOPIXなど)を1.5%を上回ろうとするのはなかなか難しいのが実際です。ベンチマークを上回るためには、しっかりとした銘柄調査と丁寧なポートフォリオの管理が必要となります。

2.4 ファンドマネージャーの経歴

投資信託のファンドマネージャーが自身の運用哲学や相場を直接語る機会は少ないですが、自分の言葉で運用方針を語る方がいれば、その方は投資家と対話をすることができる準備があるという理解をしてよいと思います。

日本の投資信託業界では、すべてのファンドマネージャーが直接投資家に語りかける環境にはなっていませんが、少しずつですが、そうした環境になりつつあります。たとえば、投信1の【特集】では、ファンドマネージャーの直接運用方針などについて詳しくインタビューしていますので、ぜひご覧ください。

2.5 過去の運用パフォーマンスはチェックすべきか

どの投資信託にしようかと悩む時には、過去のパフォーマンスを見がちですが、実はプロの投資家の間では、過去のパフォーマンスで将来の運用成績を言い当てられないというのが常識です。

たとえば、ファンドマネージャーが過去パフォーマンスの良かった銘柄にこだわりすぎて、次の有望な銘柄への投資が遅れるというようなケースもあります。また、過去にパフォーマンスが悪い銘柄でも、何かのきっかけで急にパフォーマンスが改善することもあります。ファンドマネージャーがどんなに良いと思った銘柄でも、パフォーマンスが良くなるタイミングまでは正確に言い当てられないことはよくあります。

したがって、過去のパフォーマンスは参考程度に見ておけばよく、チェックポイントとしての優先順位は最も低いと思います。

3 代表的な日本株のアクティブファンド

これまで見てきた条件に合う投資信託はどのようなものでしょうか。

例えば、ニッセイアセットマネジメントの「ニッセイJPX日経400アクティブファンド」は、海外での調査運用歴が長いファンドマネージャーが外国人の視点で日本株を丹念に調査し、銘柄数を絞り込んで運用をしています。運用する際の参考指標もJPX日経400という、日本株の中でも優良株といわれる母集団を選択しているので、それを上回る運用を目指すというのは運用のプロとしての強い意気込みが感じられるものでもあります。

投資信託名 信託報酬(年率、税込み) 主な取扱ネット証券と手数料
ニッセイJPX日経400アクティブファンド
1.5552%
SBI証券:3.24%以内
楽天証券 :3.24%以内
auカブコム証券:3.24%以内
岡三オンライン証券:3.24%以内

4 まとめ

いかがでしたでしょうか。資産運用を始める方にとって、日本株の投資信託の選び方は、(1)投資信託に組み入れられている銘柄数、(2)純資産の金額、がポイントになると思います。まずは、こうしたポイントを確認していただき、一度にまとめて特定の投資信託を購入するのではなく、少しずつ資産運用の知識を積み重ねていくのがおすすめです。

LIMO編集部