平均寿命が延び、70歳代以降の生活がますます長期化するなか、多くの人が「老後資金は足りるのか」と不安を感じています。
年金だけで十分に暮らせるのか、貯蓄はどれくらいあれば大丈夫かなどは、老後生活に入る前に把握しておき、できるかぎり老後生活に備えておきたいものです。
そこで本記事では、70歳代の貯蓄額(平均・中央値)を中心に、年金収入・支出の実態や、老後に向けた備えのポイントについてお伝えします。70歳代の方だけでなく、現役世代の方にとっても将来の生活設計を見直す手がかりにしていただけると幸いです。
1. 平均寿命より短い「健康寿命」に要注意
厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命(0歳時点の平均余命)は以下の通りです。
- 男性:81.09歳
- 女性:87.14歳
一方、健康上の問題なく生活できる期間とされる「健康寿命」については、
- 男性:72.57歳
- 女性:75.45歳
※参考資料:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
つまり、男女ともに70歳代の前半から後半以降の約9〜12年間は、介護や通院などが必要になる可能性が高いことになります。
介護費用に関しては、介護保険の対象となるサービスもありますが、所得や要介護度に応じて負担額が異なります。医療費や介護費などを想定して備えておけば、将来の安心につながるでしょう。