4. 医療費の負担増をきっかけに考えたいこと

医療費の負担増が家計に与える影響は小さくありません。負担が増加する際は、一度家計の支出や資産額について見直してみるとよいでしょう。

4.1 保険の見直し

たとえば、民間保険の保障内容や保険料を見直してみるとよいです。医療費が増えた場合には、高額療養費制度の対象になるか調べてみるとよいでしょう。高額療養費制度とは、1ヵ月の自己負担限度を超えて医療費を支払った場合、超えた分が全額払い戻されるものです。

公的な医療制度を使える機会が増える分、民間保険の保障が過剰になっている可能性があります。また、長年見直していない場合は、ライフステージの変化により、実情にそぐわない保障内容となっていることもあるでしょう。

公的な医療保険でカバーできない箇所を民間保険で補填していくイメージで、現在の健康状態や病歴などから、適切な保障内容、保険料の保険を契約しましょう。保険料が削減できれば、家計にもよい影響をもたらします。

4.2 資産の見直し

老後は、預貯金を取り崩しながら生活していくのが一般的です。家計の支出が増えれば取り崩す額も増えるため、資産の枯渇が早まります。少しでも資産の寿命を延ばせるよう、早いうちから資産を運用してお金の価値を高めていくことが大切です。

たとえば、NISAは制度が恒久化されており、一度口座を開設すれば生涯にわたって資産の運用が可能です。老後も運用し続けられるため、医療費の負担増の影響を最小限に抑えられます。老後から投資を始めるのが難しい場合は、定期預金や比較的低リスクの個人向け国債などで運用してみるとよいでしょう。

医療費は増加傾向にあり、今後負担割合がさらに増える可能性も捨てきれません。そうしたケースに備えて、資産が十分にあるかこの機会に見直してみましょう。

 

5. まとめ

医療費や保険料の負担増は、家計に少なからぬ影響を及ぼします。支出や資産をあらためて点検し、家計への負担をできるだけ抑えられる工夫を取り入れてみましょう。

参考資料

石上 ユウキ