次の年金支給日は8月15日です。実際に年金を受給するのはまだ先の人でも、年金のしくみや受給額について知っておいて損はありません。

日本の公的年金制度は、20歳以上から60歳未満のすべての人が加入する国民年金と、会社員や公務員などが加入する厚生年金の「2階建て」となっています。2025年度の年金額は、前年度と比較して1.9%増えているという状況です。

この記事では、厚生労働省のデータを参考にしながら、公的年金制度について詳しく解説します。

1. 日本の公的年金制度は「2階建て」 2025年度の年金額は前年度比1.9%増

日本の公的年金制度は「2階建て構造」といわれます。その仕組みについて、基本を確認しましょう。

厚生年金と国民年金の仕組み

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.1 1階部分《国民年金(基礎年金)》

国民年金の加入対象者は、原則として日本に住む「20歳以上から60歳未満」の全員です。職業や国籍は問いません。

  • 年金保険料(※1):全員一律(年度ごとに改定あり)
  • 老後の受給額:保険料を全期間(480カ月)納付すると満額(※2)を受給

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.2 2階部分《厚生年金》

厚生年金の加入対象者は、会社員や公務員、またパートなど特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人で、国民年金に上乗せで加入します。

  • 年金保険料(※4):収入に応じて決まる(上限あり)
  • 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差が出やすい

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

「2階建て構造」と例えられる日本の公的年金制度。1階部分が「国民年金」、2階部分が「厚生年金」となっていますが、その加入対象者や保険料の仕組み、将来受け取れる年金額などには大きな違いがあります。

1.3 2025年度の年金改定

公的年金は、賃金や物価の動きを踏まえて年度ごとに年金額が改定されるルールがあります。

2025年度の年金額は、前年度より1.9%引き上げとなっています。国民年金(老齢基礎年金)は満額で月額6万9308円(1人分)、厚生年金はモデル世帯(会社員の夫と国民年金を受給する妻)で月額23万2784円(夫婦2人分)です。

ただし、実際に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況によって一人ひとり異なります。