2. 老後生活が厳しい状況にある場合は「生活保護の申請を検討する」という選択肢も
老後の生活費は公的年金がメインとなる高齢者世帯が多いですが、年金受給額は人それぞれ異なり、高額受給している方もいれば数万円しか受給できない方もいます。
厚生年金は、現役時代の収入や厚生年金保険への加入期間などにより受給額が計算されますが、収入が高いほど、また、加入期間が長いほど高額になるのが一般的です。
しかし、地方では都市部と比較して給与水準が低い傾向があり、それに伴い受給額も低くなることが考えられます。
地方は都市部よりも物価が安いことや、賃貸物件の家賃が安いことなどもあり、生活にかかる費用は少なくて済むと思われがちです。
しかし、医療費や介護費、交通手段に要する費用など、都市部同様にかかるものもあります。
こういった費用を数万円でカバーすることは難しい傾向にあり、生活していけない場合は生活保護の申請を検討するという選択肢もあります。
3. 「地方に住む年金収入3万円の人」生活保護費をいくら受給できるのかシミュレーション
地方に住んでいて年金収入が3万円の年金生活者が、生活保護費をいくら受給できるかをシミュレーションします。
なお、生活保護費を計算する際には「級地区分」について理解しておく必要があるため、シミュレーションの前に、どういったものなのか確認しておきましょう。
3.1 級地区分とは
級地区分とは、生活保護の支給額を決める際に使われる、地域ごとの物価水準の目安のことです。
地域によって物価や生活様式などが異なり、必要な生活費も違ってくるため、一律の金額だと不公平が生じてしまいます。
例えば、都市部では地方よりも賃貸物件の家賃や生活物資が高い傾向があり、最低限度の生活費が保証されない可能性が出てきます。
逆に、地方では生活保護費が余ってしまう可能性も考えられます。
こういった事情を考慮し、地域の事情に即した金額を支給できるように級地区分が定められているのです。
「級地制度」では、全国を1級地から3級地の3つに分け、さらにそれぞれを2つ(例:「1級地-1」や「1級地-2」)に分けています。
1級地は東京23区や横浜市、大阪市などの大都市が該当し、基準額も高額になっています。
では、地方に住む年金受給者はどのくらい生活保護を受給できるのか、シミュレーションしていきましょう。
「地方住む人」がモデルとなるため、級地区分が2級地や3級地の場合で試算します。