2024年度補正予算により「住民税非課税世帯を対象にした3万円の現金給付」が行われていますが、6月現在は申請期限が迫っている自治体も多く、一部では延長対応なども始まっています。このような「住民税非課税世帯への支援」は一時的なものに過ぎず、6月19日には自民党が7月の参院選に向けて経済政策を盛り込んだ選挙公約を発表。物価高対策として、《今後の支援策》として住民税非課税世帯への1人4万円給付などの方針も示されています。今回は、「現在」の給付制度のポイントや非課税世帯の実態について、統計をもとにわかりやすく解説します。
1. 【現行制度】非課税世帯に3万円、申請はお早めに
住民税非課税世帯などを対象とする「現金給付」により、家計を支援する施策は、コロナ禍以降しばしばおこなわれてきました。
直近では、2024年度補正予算(※2024年12月可決・成立)に盛り込まれた、特に物価高の影響を受けやすい「住民税非課税世帯」を対象とする給付金です。
給付額は「1世帯あたり3万円」を基本とし、支給対象となる世帯のなかでも子育て世帯には、18歳以下の子ども1人につき2万円の「子ども加算」が上乗せされます。
この給付金の支給作業は各自治体が担当しており、給付スケジュールは各自治体により異なります。
2025年1月以降、各自治体で順次給付作業が始まりましたが、6月現在、多くの市区町村ではすでに申請期限を迎えています。
【ご注意】給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。
1.1 【6月現在】延長自治体もあり、まだ間に合う可能性も
「住民税非課税世帯」を対象とする給付金について、申請期限を延長している市町村もあります。
例えば、東京都江東区では申請期限を令和7年5月30日(金)としていましたが、延長して令和7年7月31日(木)必着としています。
今回の給付金のような各種公的支援の対象基準としてよく挙がるのが「住民税非課税世帯」という区分です。
2. 【非課税世帯の条件】住民税がかからないケースとは
まずは住民税の仕組みを確認し、住民税非課税世帯となる要件を見ていきましょう。
2.1 住民税の基本
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税です。地方自治体の重要な財源であり、公共サービスやインフラ整備に使われます。
個人住民税は、均等割と所得割の2つの部分から成り立っています。
- 均等割:所得に関係なく一律に課税される部分
- 所得割:所得に応じて税額が決まる部分
均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。「住民税非課税世帯」は、世帯全員が住民税非課税となる世帯を指します。
なお、「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
3. 【3つの要件】住民税が非課税となる理由
では、住民税が非課税となる要件を詳しく見てみましょう。
以下のいずれかに該当した場合、住民税が非課税となります。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
- 前年の所得が各市区町村の基準を下回る
1と2の要件は全ての市区町村で共通ですが、3の所得要件は市区町村ごとに異なる基準があります。
4. 【高齢世帯の実態】年金収入で非課税になる?
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」の資料から、年齢層別に住民税が「課税される世帯」の割合を見てみましょう。
- 30歳代:88.0%
- 40歳代:90.0%
- 50歳代:86.4%
- 60歳代:78.3%
- 70歳代:64.1%
- 80歳代:47.5%
- 65歳以上(再掲):61.9%
- 75歳以上(再掲):50.9%
※ 全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含む
※ 総数には、年齢不詳の世帯を含む
※ 住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む
住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%でしたが、60歳代で78.3%となります。その後65歳以上は61.9%、75歳以上は50.9%となっています。
年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低くなっています。
一般的に年金生活に入ると現役時代よりも収入が減少し、それに加えて65歳以上の方には公的年金に対する所得控除が大きく、また遺族年金が課税対象とはなりません。
そのため、高齢者の年金生活者は「住民税非課税世帯」に該当しやすい傾向があるのでしょう。
続いて、各年代別の貯蓄額に関するデータを紹介します。
5. 【20歳代~70歳代比較】貯蓄ゼロ世帯はどのくらいいる?
各年代別に二人以上世帯の貯蓄額について見ていきましょう。
平均と中央値、ならびに「100万円未満の世帯の割合」を、金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとに紹介します。
5.1 2人以上世帯の貯蓄額《平均・中央値・世帯差》
全体
- 平均1374万円 中央値350万円
- 貯蓄100万円未満の割合33.1%(うち貯蓄ゼロ世帯24.0%)
20歳代
- 平均382万円 中央値84万円
- 貯蓄100万円未満の割合46.2%(うち貯蓄ゼロ世帯22.8%)
30歳代
- 平均677万円 中央値180万円
- 貯蓄100万円未満の割合37.6%(うち貯蓄ゼロ世帯24.5%)
40歳代
- 平均944万円 中央値250万円
- 貯蓄100万円未満の割合36.9%(うち貯蓄ゼロ世帯25.7%)
50歳代
- 平均1168万円 中央値250万円
- 貯蓄100万円未満の割合37.9%(うち貯蓄ゼロ世帯29.2%)
60歳代
- 平均2033万円 中央値650万円
- 貯蓄100万円未満の割合27.0%(うち貯蓄ゼロ世帯20.5%)
70歳代
- 平均1923万円 中央値800万円
- 貯蓄100万円未満の割合26.2%(うち貯蓄ゼロ世帯20.8%)
貯蓄の平均値や中央値を見ると、年齢が上がるほど貯蓄額も増加しています。
しかし、どの年齢層でも、貯蓄額が100万円未満の世帯が30%~40%程度存在しています。特に、中央値が平均値の3分の1から4分の1程度となっており、貯蓄額には大きなばらつきがあることがわかります。
6. 支援を上手に活用するために「自分が該当するか」自治体情報で早めの確認を
今回は、政府の経済対策に盛り込まれた「住民税非課税世帯への3万円給付金」について、統計と制度情報をもとに解説しました。
まとめると、
- 給付の対象は「住民税非課税世帯」等で、子ども加算もあり
- 申請期限や対象条件は自治体により異なる
- 高齢世帯も該当しやすい傾向あり
今後も支援制度を上手に活用するために、まずは「自分が該当するかどうか」を自治体情報で早めに確認しましょう。
※本記事は、2024年度補正予算に基づく現行の「3万円給付金制度」について解説しています。6月に発表された「1人4万円給付」は次回選挙の公約に盛り込まれた今後の政策案であり、本制度とは別のものです。
参考資料
- 内閣府特命担当⼤⾂(経済財政政策)「国⺠の安⼼・安全と持続的な成⻑に向けた総合経済対策」
- 総務省「個人住民税」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 東京都江東区「【申請期限延長】江東区物価高騰重点支援給付金(令和6年度住民税非課税世帯・3万円)のご案内」
- 自民党「「日本を動かす 暮らしを豊かに」参院選の公約を発表」
村岸 理美