国民年金の「第1号被保険者」は、国民年金保険料を自身で納める必要があります。
国民年金保険料は毎年度見直しが行われており、2025年度は「月額1万7510円」です。保険料は全員一律。年収が高くても低くても、無職でも、学生でも、保険料は同額となるため大きな負担に感じる方もいるかもしれません。
では、みんなは国民年金保険料を納付できているのでしょうか。2025年5月30日、厚生労働省よりリリースされた「令和7年3月末現在 国民年金保険料の月次納付率」をもとに、国民年金保険料の納付状況を確認していきます。
1. 公的年金は2階建て!ベースとなる1階部分が「国民年金(基礎年金)」
日本では、原則として20歳から60歳未満のすべての国内在住者に「公的年金」への加入が義務づけられています。
この公的年金制度は「2階建て構造」となっており、土台となる1階部分が国民年金(基礎年金)です。
さらに、会社員や公務員などは、この国民年金に加えて2階部分の厚生年金にも加入する仕組みとなっています。
自営業者、農業従事者、無職などで厚生年金に加入していない「第1号被保険者」は、自ら国民年金保険料を支払う必要があります。
この第1号被保険者が将来受け取る年金額は、保険料を納めた月数によって決まります。
2025年度の国民年金の満額は月額6万9308円ですが、未納や免除された期間がある場合、その分差し引かれて支給される仕組みです。
冒頭で触れたとおり、決して安くない国民年金保険料。その納付率の実態を次章で確認していきましょう。
2. 【最新】国民年金保険料の「納付率」は?
厚生労働省により公表された資料によると、最終的な納付状況を見るための指標となる3年経過納付率は、2025年3月末現在(2022年3月分保険料)は、83.8%で、16.2%が未納となっています。
※1年経過納付率・2年経過納付率:納付状況の途中経過を示すもの
※3年経過納付率:最終的な納付状況を見るための指標として適当
なお、全国の平均でみると都道府県別にみると納付率が9割を超えるところもあれば、8割を下回るところもあるようです。
次章で、都道府県別における「国民年金保険料の納付状況」を詳しく見ていきましょう。
3. 【都道府県別】国民年金保険料納付率の状況は?
2025年3月末現在の、2022年3月分保険料の3年経過納付率を都道府県別に見ていきます。
全 国:83.8%(+0.3pt)
- 北海道 :83.5% +0.5pt
- 青 森 :86.4% +0.7pt
- 岩 手 :90.7% +0.5pt
- 宮 城 :86.0% +0.5pt
- 秋 田 :90.2% +0.5pt
- 山 形 :90.9% +0.4pt
- 福 島 :86.7% +0.6pt
- 茨 城 :81.6% +0.5pt
- 栃 木 :82.3% +0.5pt
- 群 馬 :83.5% +0.3pt
- 埼 玉 :80.9% +0.4pt
- 千 葉 :83.1% +0.3pt
- 東 京 :80.3% ▲0.1pt
- 神奈川 :83.9% +0.3pt
- 新 潟 :91.9% +0.3pt
- 富 山 :91.5% +0.3pt
- 石 川 :90.2% +0.3pt
- 福 井 :89.8% +0.6pt
- 山 梨 :88.4% +0.1pt
- 長 野 :89.2% +0.4pt
- 岐 阜 :88.1% +0.3pt
- 静 岡 :87.6% +0.3pt
- 愛 知 :85.4% +0.4pt
- 三 重 :86.4% +0.3pt
- 滋 賀 :87.4% +0.4pt
- 京 都 :85.4% +0.4pt
- 大 阪 :78.6% +0.6pt
- 兵 庫 :84.6% +0.5pt
- 奈 良 :86.6% +0.5pt
- 和歌山 :89.3% +0.5pt
- 鳥 取 :89.2% +0.4pt
- 島 根 :92.6% +0.3pt
- 岡 山 :86.1% +0.4pt
- 広 島 :87.7% +0.3pt
- 山 口 :88.0% +0.5pt
- 徳 島 :84.0% +0.6pt
- 香 川 :87.3% +0.5pt
- 愛 媛 :86.4% +0.4pt
- 高 知 :86.8% +0.7pt
- 福 岡 :81.4% +0.4pt
- 佐 賀 :86.1% +0.5pt
- 長 崎 :82.5% +0.8pt
- 熊 本 :83.3% +0.7pt
- 大 分 :82.7% +0.4pt
- 宮 崎 :84.3% +0.5pt
- 鹿児島 :84.3% +0.5pt
- 沖 縄 :80.9% +0.5pt
国民年金の保険料納付状況において、最高値を記録したのは島根県で92.6%に達した一方、最低値となったのは大阪府の78.6%でした。
なお、納付率が80%を割り込み70%代となるのは大阪府のみという結果になっています。
4. 「国民年金保険料」納付しないとどうなるの?
前述のとおり、第1号被保険者が将来受け取れる年金額は、国民年金保険料の納付済期間により決定します。
また、保険料を納めた期間と免除を受けた期間を合わせた「受給資格期間」が10年に達していない場合には「老齢年金を一切受給できない」点には注意が必要です。
国民年金保険料が未納となると、連絡や督促、最終的には財産が差し押さえれれることも。未納となった場合、どのような措置が講じられるかを確認していきましょう。
4.1 ケース1:納付期限までに納付されない場合
国民年金保険料を期限までに支払わないと、日本年金機構の職員や委託された民間業者から連絡が来ることがあります。
その際には、電話での督促や通知書の送付などにより、保険料の納付を求める対応が行われます。
4.2 ケース2:納付推奨しても納付されない場合
前述の納付促進によっても国民年金保険料の未納が続く場合、「最終催告状」が送付されます。
この催告状に記載された期限までに納付が確認できないと、「督促状」が発送されることになります。
なお、被保険者に連帯して納付義務を負う世帯主や配偶者がいる場合には、その方にも督促状が送られる点に注意が必要です。
4.3 ケース3:長期間、保険料未納の状況が続く場合
督促状をもってしても指定された期限内に国民年金保険料が未納のままである場合、財産の差し押さえが実施されることがあります。
また、被保険者に連帯納付義務者(世帯主や配偶者)がいる場合には、連帯納付義務者の財産にも差し押さえが行われる可能性があるため、ご注意ください。
2024年9月末時点の国民年金保険料の強制徴収の実施状況は次のとおり。
- 最終催告状送付件数:10万3194件
- 督促状送付件数:5万8666件
- 差押執行件数:1万909件
5. 国民年金保険料の納付が難しい場合は放置しない!
経済的な事情で国民年金保険料の支払いが困難な場合は、申請により保険料の「免除」または「納付猶予」を受けられる可能性があります。
承認されると、以下の表に示されるように、受給資格期間として計算されたり、将来の年金額に一部反映されたりします。
なお、納付猶予が認められた場合は老齢基礎年金の金額には反映されませんが、その期間中に万が一のことがあった際は、障害年金や遺族年金を受給できる場合があります。
国民年金保険料の免除・納付猶予制度は、失業や収入の減少などにより保険料の支払いが難しい方を支援するための仕組みです。
繰り返しになりますが、保険料を未納のまま放置すると、最終的には財産の差し押さえといった厳しい措置が取られる可能性もあります。少しでも該当の可能性がある場合は、早めにお近くの年金事務所へ相談することをおすすめします。
6. まとめにかえて
本記事では、国民年金保険料の納付率の現状について見てきました。
経済状況などに応じて、保険料の免除や納付猶予が受けられる場合もありますので、自分がその対象かどうか不安な方は、一度年金事務所に相談してみると良いでしょう。
2025年度の国民年金の満額受給額は月額6万9308円。前年度から1.9%増額改定されていますが、物価の上昇率を下回る水準で実質的には目減りとなります。
年金だけで十分な老後生活を送るのは容易ではないといえるでしょう。
より充実した老後を目指すには、まず国民年金保険料をしっかりと納め、そのうえで「自分年金」のような追加の資産形成にも目を向けていくことが大切です。
「自分年金」の作り方は人それぞれ。自分に合ったプランを立てて早期に実行に移していけると良いでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「日本の公的年金は「2階建て」」
- 厚生労働省「令和7年2月末現在 国民年金保険料の月次納付率」
- 日本年金機構「国民年金保険料強制徴収の実施状況」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
マネー編集部年金班