2. 施設での様子に「悲しさがこみ上げる」こともあった
フジタさんがおばあ様に「ネイル」をプレゼントしたきっかけは「認知症の祖母だからこそ、心から喜んでもらえる贈り物をしたいと考えたこと」だったそう。
おばあ様は、誰かに会ったり物をもらったりしても、すぐに忘れてしまうと明かすフジタさん。
続けて「私が会いに行くと、毎回涙を浮かべて『こんなところまで来てくれてありがとう』と大げさなほど喜んでくれるのです。そして、必ずと言っていいほど『お小遣いをあげたいけど、自由なお金がないからごめんね』と申し訳なさそうに言います」と、おばあ様とのエピソードを話してくれました。
時にはそんなおばあ様の様子に、切なくなることもあるといいます。
「短い面会時間の中で、同じ質問を何度もされたり『そうだったね』と少し恥ずかしそうにする祖母の姿を見ると、頭では『仕方ない』と分かっていても、胸が締め付けられるような悲しさがこみ上げます」と、胸の内を明かしてくれました。
3. 昔からおしゃれが大好きだったおばあ様に選んだプレゼント
そんな中、フジタさんが「特別なプレゼントを贈りたい」と考えていたときに、ふと思いついたのがネイルだったそうです。
フジタさんは「ネイルなら毎日目に入るし、昔からおしゃれが大好きだった祖母にきっと喜んでもらえるはずだ」と考えました。
「たとえ私がネイルをしてあげたことを忘れてしまっても、爪を見るたびに『このきれいな爪は誰がしてくれたんだろう』と周りに尋ね、『お孫さんがしてくれたんだよ』と聞くたびに、『私のためにこんなことをしてくれる人がいるんだ』と感じてくれるのではないかと。すぐに忘れてしまう祖母だからこそ、何度も新鮮な喜びを味わってもらえるかもしれない、と思ったのです」と明かします。