大学などへの進学には高額な費用がかかることが多く、子どもの教育資金の準備に苦戦している方もいるのではないでしょうか。
子どもの希望する進路に進ませてあげたいと思いつつも、経済的な理由からどうしても難しいというケースもあるでしょう。
「大学無償化(高等教育の修学支援新制度)」を活用すれば、子どもの希望する進学にかかる費用を支援してもらえます。
ただし、利用するには世帯収入や子どもの学習意欲など、所定の要件を満たす必要があります。
本記事では、大学無償化制度の概要や、2025年度から多子世帯への所得制限が撤廃された改正内容について解説します。
1. 大学無償化(高等教育の修学支援新制度)とは
大学無償化(高等教育の修学支援新制度)とは、大学や短大などへ進学したい意欲がある学生に対し、家庭の経済状況に関わらず進学できる機会を確保できるよう支援するための制度です。
入学金や授業料が免除になるほか、返済不要の奨学金の支給を受けられます。
本制度を利用することで、経済的な理由で進学を諦めていた学生たちにも、高等教育を受けるという夢を叶える機会が提供されます。
では、大学無償化の詳しい支援内容を確認していきましょう。
1.1 【大学無償化制度】対象となる学生は?
大学無償化制度の対象となるのは、次の条件をいずれも満たす学生です。
- 世帯収入や資産要件を満たしている
- 学ぶ意欲がある
世帯収入の条件としては、住民税非課税世帯またはそれに準ずる世帯である必要があります。
学ぶ意欲については、成績だけで判断されるのではなくレポートなどでも確認が行われます。
1.2 【大学無償化制度】支給額は世帯収入によって異なる
大学無償化制度では、世帯収入によって第Ⅰ区分から第Ⅳ区分の4つに分けられ、区分ごとに支給金額が異なります。
第Ⅰ区分は住民税非課税世帯が該当し、もっとも手厚い支援を受けられます。
例えば、父(会社員)・母(専業主婦)・学生本人(18歳)・兄弟(中学生)の4人家族で、学生が私立大学に入学し一人暮しをする場合、世帯収入が約270万円までであれば第Ⅰ区分に該当し、限度額いっぱい支援を受けられます。
また、同じ家族構成の場合、年収が約300万円までは第Ⅱ区分に該当し、上限額の3分の2の金額が支給され、年収が約380万円までは第Ⅲ区分に該当し上限額の3分の1の金額が支給されます。
1.3 【大学無償化制度】入学金・授業料の支援額はどれくらい?
入学金や授業料の支援額は、進学先の学校の種類や、国公立/私立の別により金額が決められています。
下表は、第Ⅰ区分の場合の支援金額です。
第Ⅱ区分は第Ⅰ区分の3分の2の金額が、第Ⅲ区分は第Ⅰ区分の3分の1の金額が支給されます。
例えば、第Ⅰ区分に該当する世帯の学生が私立大学に進学する場合、入学金が26万円、授業料が70万円支給されることになります。
なお、大学1年の後期以降に支援を受ける場合は、入学金の免除・減額は受けられないことにご注意ください。
1.4 【大学無償化制度】給付型奨学金の支給額はどれくらい?
大学無償化制度では、学生生活を送るために必要な生活費として、日本学生支援機構(JASSO)から、返済不要の奨学金を受けることも可能です。
原則として毎月、学生本人の銀行口座に振り込まれます。
では具体的な支援額を、第Ⅰ区分を例に見てみましょう。
こちらも、第Ⅱ区分は第Ⅰ区分の3分の2の金額が、第Ⅲ区分は第Ⅰ区分の3分の1の金額が支給されます。
例えば、第Ⅰ区分に該当する世帯では、国公立大学に通学し一人暮らしをする場合、年間80万円が支給されます。
2. 【大学無償化制度】2024年度の制度改正内容を確認
大学無償化制度は、2024年度にも制度改正があり、対象となる学生の範囲が拡大されました。
対象となったのは、世帯年収600万円程度までの以下のケースです。
- 扶養している子どもが3人以上いる多子世帯
- 私立理工農系に進学する学生
多子世帯には、第Ⅰ区分の支援額の4分の1の金額が支給され、私立理工農系の学生には、私立文系学部との授業料差額分が支給されています。
そして、2025年度にはさらに対象となる学生が拡大されています。
3. 【大学無償化制度】2025年度から多子世帯の所得制限が撤廃に
大学無償化制度は、2020年4月からスタートした制度であり、前章で解説したように、2024年度に支援対象範囲の一部拡大が行われました。
そして2025年度より、多子世帯の所得制限が撤廃され、利用できる世帯の範囲が拡大しています。
2025年度からの概要は以下の通りです。
※私立大学の場合
3.1 【大学無償化制度】「子どもの数え方」に注意
支援の対象となる多子世帯の学生は、「扶養している子どもが3人以上で、なおかつ大学などに通っていること」と定められています。
そのため、扶養している子どもが独立して2人以下になった場合は、支援の対象外になることに注意が必要です。
例えば上図のように、扶養している子どもが3人おり、一番上の子どもが大学生の場合は、その学生は支援の対象です。
なお、3人中2人が大学生の場合は、その2人が対象になります。
しかし、一番上の子どもが就職し扶養から外れた場合は、2番目の子どもは支援の対象外になるということです。
4. 大学無償化制度の「支援対象となる条件」を確認し有効活用しましょう
大学無償化制度により、経済的な理由で進学をあきらめざるを得なかった学生も、希望する進路に進むことが期待できます。
制度を利用したい場合は、支援対象となる条件を確認し、有効活用しましょう。
大学などへの進学には高額な費用がかかることが多いため、まだ子どもが小さい世帯では、早いうちから教育資金を準備しておくことを検討しましょう。
たとえば、預貯金や学資保険、新NISAといった制度の活用など、さまざまな方法があります。
ただし、資産運用は利益が期待できるだけでなく、価格変動リスクが伴います。
教育資金の準備を検討する際は、それぞれの特徴をよく理解しておくことが大切です。
ライフスタイルや家計、資産の状況などに合わせて、将来に向けて計画的に準備することをおすすめします。





